ハロハロ
こちらで日本人の知り合いや友人と話をしていると、決まってうなずき合う話題がある。「どういう訳かフィリピン人は謝らない」。従業員や使用人がミスをしても非を認めなかった経験を口々に披露する。大きな過失ではなく、「ごめんなさい」のひと言で済むようなときでも、言い訳を並べたてるという。
◇
フィリピン人が謝らないのは、スペイン統治時代に過失を認めると厳しく罰せられた歴史があるからだと、何かの本で読んだ覚えがある。「ほんとかな」とも思うが、それが現在まで引き継がれて国民性になっているのだろうか。だが、容易に謝らないのは何もフィリピン人に限らない。欧米人も同様だ。
◇
すぐに謝るのは、むしろ日本人の特性かもしれない。特にサービス業の人は、自分の方に非があるかどうかは二の次で、とにかく謝る。不祥事を起こした大手企業の社長は記者会見の冒頭、深々と頭を下げる。そのシーンを撮らないとニュースにならないかのようにテレビカメラが映し出す。日本では、謝るのが世渡りの「セレモニー」になっている。「謝る文化」と「謝らない文化」。その違いはどこから来たのだろう。「文化交流」は、口でいうほど容易ではないと思う。 (濱)