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10月14日のまにら新聞から

貧しい業者の救済を

[ 711字|2002.10.14|社会 (society)|新聞論調 ]

MMDAの露天商撤去

 首都圏開発局(MMDA)のバヤニ・フェルナンド局長による路上や歩道の違法露店商の強制立ち退き作戦が続いている。同局長は、「地方自治体の許可無く無断で路上に商業施設を設置することは違法」と主張している。現状では露天商は土地を買うか借りるかして、自ら合法化の道を探るしか方法はないのである。

 だが、それは事実上不可能と言っていい。高い賃貸料や役所の官僚主義的な様々な手続きが「高い敷居」となっているためだ。マリキナ、ケソン、マニラ市の首都圏内三市における公共市場の月額賃貸料は四百から千八十ペソ、生鮮食料品専用の市場では六百ペソから二千七百九十ペソと高騰する。賃貸料は店舗の立地条件で変化する。マニラ市ではA、B、Cの三ランクに分けられ、最高ランクであるAランクの店舗は賃貸料は高価だが、市場の外側に位置し、スペースも広い。逆に、Cランクの店舗は安い代わりに、人通りの少ない市場の奥に位置している。

 彼らの収入は一軒につき一日当たり百ペソから二百ペソの収入がある。一見、十分な収入に見えるが、一人も客がいない日もあり、経営は不安定だ。さらに店舗を借りる際には営業権二万ペソと賃貸料三ヵ月分を前払いする必要がある。これに加え大量の書類をそろえなければならず、貧しい業者にとって厳しい条件となっている。市場の管理人は、賃貸料を遅滞なく払える裕福な業者を歓迎し、支払いが滞り勝ちな貧乏人を敬遠する。

 路上露店は違法だろうか?答えはイエスだ。だが、だからといって立ち退きを強制するのは露店業者の生存権の否定に当たる。別の場所で合法的に商売ができるよう救済措置を講じるべきだ。(9日・インクワイアラー紙、ジェリー・アポロニオ氏)

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