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9月16日のまにら新聞から

米国人に内省の時を

[ 714字|2002.9.16|社会 (society)|新聞論調 ]

米中枢同時テロ一年

 九月十一日は米国にとって反逆と悲劇の日、一方で勇気と忠誠が最大限に国難を癒したといえる日だった。無防備の一般市民を標的にした同時テロは、米国民に真珠湾攻撃以上の記憶を残すことになろう。

 「悲しみと、敵に打ち勝つ決意をバネに結束を」。昨年の悲劇の三日後、ブッシュ米大統領は呼びかけた。悲しみは米国だけのものではない。貿易センタービルとともに同胞を失った世界全体の悲しみだった。

 しかし、今やブッシュ大統領が国際世論の支持を受けているとは言い難い。世界は9・11の恐ろしさに尻込みしているわけではなく、ましてテロリストを支持することはない。だが今や、米国の「テロリスト」の定義を肯定するのはブレア英首相とアロヨ大統領だけだ。カナダをはじめとする米国の同盟国すら、イラクのフセイン大統領が世界平和をかく乱するテロリストとは考えていない。

 「世界のテロネットワークを根絶するためあらゆる手段を用いる」とブッシュ氏が言ったとき、反対する者はなかった。アルカイダの魔手を断つためにブッシュ氏は世界中の支援を得ることができた。

 しかし、大量破壊兵器を蓄えているという疑惑のみを頼りにイラクに宣戦することはほとんどの国々にとって理解を超えている。それどころか、中東全体が戦火に巻き込まれることへの恐れを引き起こす。しかしブッシュ氏は踏みとどまる気はないようだ。

 「なぜわたしたちは恨まれるのか」。「なぜ欧州や発展途上国の人々は、あの惨劇を『理解』できるのか」。ごう慢と評されてきた米国人は、一年前、ようやく内省し始めた。なのに、ブッシュ氏が進軍ラッパを吹き続けていては、考えるいとまもないではないか。 (11日・インクワイアラー)

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