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8月19日のまにら新聞から

アロヨ政権の分裂

[ 689字|2002.8.19|社会 (society)|新聞論調 ]

教育長官の辞任劇

 ラウル・ロコ教育長官の辞意表明はアロヨ政権を震撼(しんかん)させた。七月中旬のギンゴナ外務長官の辞任劇から一ヵ月足らずの間に相次いだ閣僚辞任は国民にアロヨ政権の分裂を印象づけた。

 ロコ長官の辞意表明は大統領府汚職撲滅委員会のダリオ・ラマ委員長が長官の公金流用疑惑の調査を開始すると発表したことがきっかけだった。教育省内部から告発があったという。

 調査開始のタイミングは不自然な印象を与えた。告発から一年経て疑惑を公表。特に不信感を与えたのは「大統領にしたい人物」の世論調査で、長官への支持が大統領のそれを上回った直後だったからだ。

 同長官を辞任させる手法は外務長官の時と実によく似ている。あの時は、外務長官職辞任に大統領自身が合意したかのような手紙を報道陣にリークしてギンゴナ氏を「勇退」させた。だが、リーク時点では、実際は合意には達していなかった。明らかに何者かが追い出しを工作を仕掛けたようだった。

 ロコ長官への汚職疑惑の調査は重要事項だ。だが長官が言うように事前に大統領から何らかの説明があって良かったのではないか。弁明の機会を与えられること無く疑惑を世間に公表されてしまった。

 大統領の不器用な首切り手法は自身の勢力を弱めている。二閣僚の辞任劇は古くからの仲間を混乱に陥れ、政治判断の未熟さを公表してしまった。

 マラカニアン宮殿は大統領を再選させることに一生懸命な「アドバイザー」であふれているようだが、工作はかえって再選の可能性を低くしている。大統領は誰が味方で誰が敵か気付くべきだろう。自称「味方」は最も危険な敵になり得る。(15日・インクワイアラー)

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