正当な手続き順守を
MLSAの課題
かつてラモス元大統領は「訪問米軍の地位に関する協定」(VFA)の批准を上院に諮った。アロヨ大統領も、比米相互補給支援協定(MLSA)を同じ手続きにかけるべきだ。
MLSAは基地建設に関する協定なのか。あるいは似て非なるものなのか。政権はこの問題について国民に十分な説明を行う責任がある。
タイは同様に米国と緊密な関係にあり、フィリピンのような反米感情はない。しかし、同じような軍事協定を拒否している。米軍が上陸するのをよしとしなかったからだ。
フィリピンの憲法は、それ自体で外国の軍隊の駐留を禁じてはいない。国家はその利益にかんがみて、外国軍の駐留を認める権利があるとの考えからだ。憲法が明確に禁じているのは、外国とのこうした協定を上院の議決なく批准することだ。大統領が外国軍の基地再建を目指すことに問題はない。ただ、その際に必要なのが上院の合意、正式な条約手続きだ。
MLSAは今のところ、法的根拠を満たしていない。少し考えれば、紛れもなく米軍基地の復活を目指しているものだと分かる。基地は大きいものである必要はない。小は前線基地から大は常設の駐屯基地まで、目的は自立的に存在することだ。米国が必要以上の軍備を送り込み、米兵が管理を始めれば、既に憲法違反の始まりだ。
VFAが上院を通過したのは、米兵の常時駐留につながる可能性がなかったからだ。しかし、MLSAは米軍の権益を大きく拡大し、フィリピンは再び米国の「かわいこちゃん」になり下がる。
政権が説明責任を果たし、上院に協定案を諮るなら、少なくも民主的手続きを全うしたといえるのだが、どうか。(27日・トゥデー)