ハロハロ
「フィリピン人」をテーマにした意識調査の結果をホセ・アブエバ・フィリピン大学名誉教授(政治学専攻)が英字紙インクワイアラーで紹介している。昨年十一月、千二百人を対象に全国規模で実施された調査で、そこに出てくる数値の一つ一つに「現代フィリピン人像」が投影されているようで興味深い。
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「フィリピン人であることを誇りに思うか」との問いに、「非常に思う」と「思う」が計九一%。特に十八︱二十四歳の若者は九三%と高率だった。マルコス政権末期、首都圏で生徒の大半が「フィリピン人でなく、よその国の人になりたい」と答えていたのと極めて対照的。同教授は「国が多くの問題を抱え、大人が愚痴をこぼしているにもかかわらず、若い世代の国民意識は高い。非常に期待できる」と評価している。
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だが、全体の調査で「たとえ悪政でも、国民は国家を支援するべきか」との設問に、「イエス」三六%、「ノー」六四%。「善し悪しにかかわらず、多くのフィリピン人は『我が国』の価値を認めていない」というのが同教授の分析。「フィリピン人である」ことと「フィリピン国民である」ことには、国民の意識の上で乖離(かいり)があるように思える。(濱)