ハロハロ
[ 404字|2002.2.25|社会 (society)|ハロハロ ]
フィリピンには死者の誕生日を祝う習慣があることをご存知だろうか。先日も五年ほど前になくなった義父の「誕生パーティ」に駆り出された。パーティ会場は墓地。物言わぬ「主賓」の傍らで、この世に残された者たちが食事をしながら世間話を日暮れ近くまで続ける。
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パーティが始まって一時間ほどたった時、それまでわいわいやっていた親類一同の手と口が止まった。みな五十メートルほど離れた火葬場の煙突から上がる煙にじっと見入っていた。土葬に慣れ親しんだ彼らには、人を焼いてしまう火葬がとても残酷な行為に映るらしい。
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火葬作業を見に行って仰天した。作業員がグラインダーでお骨を粉々に砕いていた。火葬は割安らしいが、誕生パーティは遺体がそのまま埋まっている土葬だからこそ盛り上がる。親類たちも「灰では祝いがいがない」と言う。死後まで誕生日を祝ってもらう気恥ずかしさと機械に粉砕される無常。あなたはどちらを選びますか?(酒)