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2月25日のまにら新聞から

新聞論調

[ 701字|2002.2.25|社会 (society)|新聞論調 ]

過剰なプロパガンダ アブ首切り映像公開

 イスラム過激派、アブサヤフ掃討作戦への米軍介入に反対する議論は続いている。アロヨ政権はこれに真正面から向かい合おうとしていない。政府はテロ組織「アルカイダ」との戦いを展開する米国を全面支持している。だが政策が不十分であるかのように、アブサヤフが人質を首切り処刑したビデオ映像を公開した。

 国民が残酷な映像にショックを隠せない中、政府は「敵の素顔をみせる方法の一つとして映像を公開した」と主張する。 

 しかし、アブサヤフの残虐さは既によく知られており、多くの国民は彼らを軽べつしている。アブサヤフに対する国民の憎悪や、国軍兵士の闘志、そして比米合同軍事演習に対する国民の支持を高めることに映像公開は役立っていない。

 ビデオ映像は国軍部隊とともに米兵がアブサヤフの本拠地に入った時に合わせて公開された。、国軍スポークスマンは「比米合同軍事演習に反対する愛国主義者や左派の言い分を粉砕する意図があった」と説明した。だが、これは米軍介入を「主権の侵害と違憲」と訴える愛国主義者に対する誤った対応だ。

 映像公開は過熱したプロパガンダである。アブサヤフをせん滅するために投入された米兵と国軍兵士の能力を高めることにはならない。むしろ、政府の発想の未熟さが浮き彫りとなった。

 過剰なプロパガンダを続けるなら、アブサヤフやアルカイダが組織するテロリスト集団に打ち勝つことはできないだろう。能力と高性能の武器、地上での軍事技術によって戦争に勝利できる。「アブサヤフ憎悪キャンペーン」を展開することに時間とエネルギーを浪費しても、アブサヤフに対する嫌悪感はこれ以上高まることはない。(21日・インクワイアラー)

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