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2月11日のまにら新聞から

「対テロ」と「対貧困」

[ 676字|2002.2.11|社会 (society)|新聞論調 ]

世界経済フォーラム

 ニューヨークで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、世界各国の政財界、学界のエリートたちは、テロ行為を撲滅させる方策として貧困対策の重要性を強調した。

 一方、米国のパウエル国務、オニール財務長官は貧困対策を口にしながら、イランなど「悪の枢軸」と戦う必要性を強調、「対テロ戦争」への協力を呼び掛けた。ブッシュ大統領が今月初旬に議会提出した予算教書によると、二〇〇三年度の歳出は前年度当初比三・七%増の二兆一千億ドルあまりで、国防費は前年度当初比で一四%増大した。

 厚生、教育予算を削って国防費を増大させる米国。その閣僚たちの「貧困対策」呼び掛けは、自分の罪を告白して神の許しを願っているようなものだろう。

 同時テロを起こした背景を考える時、忘れてはならない要素が二つある。一つは十一世紀の「十字軍遠征」に端を発したイスラム教徒の恨みという歴史的な要因。もう一つは西側先進各国の多くが肥沃な土地に位置し、貧しいイスラム教国が石油以外の資源の乏しい地域にあるという地勢的要因だ。

 フィリピンでは昨年五月に、貧困層の人々がマラカニアン宮殿前を占拠する事件が起きた。アロヨ大統領はこの事件を契機に、口先だけの貧困対策だけでは自分の身が危ういことを痛いほど悟ったことだろう。

 ダボス会議でも大統領は「テロに対する戦いと貧困に対する戦いはつながっている」と演説、「対貧困戦争」で世界各国が団結することを訴えた。しかし、米国など世界各国の関心は「対貧困」より「対テロ」に集まっていることは明らかで、大統領の訴えは掛け声倒れになる可能性もある。

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