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2月11日のまにら新聞から

忘れ去られた人々

[ 687字|2002.2.11|社会 (society)|新聞論調 ]

バシラン州復興問題

 バシラン州を舞台にした比米合同軍事演習。米軍参加などをめぐって政治家や市民グループがかんかんがくがくの議論を続けているが、彼らは長年戦火に苦しんできた州民のことを置き去りにしてはいないだろうか。一体何人の政治家や批評家がバシランに滞在し、住民の絶望的状況を知り得ただろうか。机に向かいながら遠く離れた世界を分析する仕事ほどたやすいことはないのだ。

 バシラン州は国内で最も貧しい州として知られている。バシラン本島にはフィリピン人があって当たり前と思っている舗装路やモール、ホテル、リゾート、娯楽施設がない。

 これらに代わってあるのは、米国の標的にされている山賊集団の無法行為だ。イスラム過激派、アブサヤフのメンバーにはバシラン島で生まれ育ったものがいるかもしれない。ただ、彼らはバシラン州民の性質を決して代表してはいない。バシランの人々も他のフィリピン人と同様、平穏な生活を切望しているのだ。

 アブサヤフさえ取り除けば州民の願いは実現されるのか。そうではない。イスラム過激派問題の背後には、何十年もの間、「辺境の地」として同州の存在を無視してきた中央政府の失政があることを忘れてはならない。政府はこれまで、ごく限られた予算しか同州に配分せず、地域経済を浮上させるための政策立案を怠ってきた。そして、われわれはそのような政府を批評すらしなかった。

 米軍参加で、アブサヤフは絶滅するかもしれない。山賊集団の掃討が、バシラン島復興の第一歩になることは確かなことだが、中央政府の怠慢、国民の無関心を正すためには長い時間と真摯(しんし)な取り組みが必要なことは言うまでもない。

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