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9月10日のまにら新聞から

水銀中毒の脅威

[ 697字|2001.9.10|社会 (society)|新聞論調 ]

火力発電所の廃棄物に

 環境団体、グリーンピースの東南アジア地域の広報責任者を務めるレッド・コンスタンティーノ氏は最近の報告書「石炭火力発電所と水銀廃棄物の脅威」の中で、「水俣病」に関する恐ろしい話を紹介している。「水俣病」とは一九五〇年代に日本の水俣湾にある漁村で発生した水銀中毒を原因とする恐ろしい病気だ。中でも、汚染された魚介類を摂取したネコが水銀中毒により数百匹も狂ったように「踊りながら」死に、人間がこれに続くという背筋も凍るような話が紹介されている。

 この報告書が今週、メディアの注目を浴びた。グリーンピースのメンバーが、バタンガス州カラカ町にある石炭火力発電所横の水銀廃棄物の堆積現場で抗議活動を行ったからである。水銀を含む堆積物が周りの村々や水資源を汚染しているという。

 電子メールでも読めるこの報告書ではバタンガス州の発電所だけでなく、ケソン州マウバン町で操業している火力発電所についても説明している。この発電所を所有する会社は、やはり西ネグロス州プルパンダン町で火力発電所を操業していたが、住民の粘り強い反対運動の末、最近、追い出されたばかりだという。

 このケソン州の発電所は一九九九年に操業が開始されたが、地元の住民組織によると、発電所に一番近いバランガイ(最小行政単位)でこれまでに八十三匹の牛馬が死んだ。その症状は、下痢や食欲不振、生殖器肥大などだが、最近は「狂ったように踊りながら」死んだという報告がある。

 地元リーダーは、「発電所の横にありながら村には電気がない。水牛は一頭一万三千ペソ以上し、住民にとってこの損失は計り知れない」と説明している。企業と政府の責任が問われている。

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