本来の機能がマヒ
上院の疑惑調査
「上院議会は分断されている」。上院議長自らの言葉だが、今年一月のアロヨ政権を生み出した「エドサ2」をめぐる対立の構図がそのまま引き続き上院を支配している。
第12期国会が始まってからこれまで、上院議会は立法に関する審議をほとんど行っていない。最初の数週間は、それぞれの委員会の長を決めるのに延々と議論を重ねた。ようやく解決したと思われた時に、今度はラクソン上院議員の疑惑調査が本格的に始まったのだ。
最初はそんなに調査が本格化するとは上院議員たちも考えていなかったが、市民の反応が予想以上だったため、上院も引けなくなった。ビアゾン議員も、「疑惑調査は上院の手を離れた。どうやって収束できるのか誰も分からない」と述べている。
さらに上院は、ラクソン議員についての疑惑問題を調査する間にも、三つの委員会がミンダナオ島のアブサヤフと国軍の癒着問題の調査に時間を割いている。このような状況の中、国会開会から二カ月が経過し、上院も二週間の休会に入った。
そのため、これまでにまだ一つも立法化できた法案がないことは何も不思議ではない。任命委員会ですら、大統領の任命人事を承認するという本来の務めを果たせずにいる。例えば、空席になっている選挙管理委員会の委員長と二人の委員すらまだ任命できていない。
アロヨ大統領はきのう、懸案となっているマネーロンダリング(資金洗浄)規制法の九月三十日までの成立に向けて特別国会を招請すると発表した。この二カ月間上院は、国民向けの疑惑調査に一〇〇%力を注いだため、立法府としてはゼロの働きだった。今こそ、党利党略を乗り越えて、選良としての本来の仕事に全力を傾けるべきだろう。