不道徳なポルノ追放を
映画「ライブショー」
「ライブショー」のタイトルから分かるように、この映画はライブセックスとその行為に従事する若者を取り巻く社会環境を題材にしている。私は観る必要がないと考えている。
セックスをテーマにすれば客を集められると映画製作者は安易に考えている。
観客は①ポルノ雑誌を読みふける男性たち②出演している男優のファンの女性たち③性描写に芸術性を見いだす映画ファン④貧困と売春の関係について研究するくだらない社会学者や学生——程度だろう。
この映画で得するのは、表現の自由を主張し、「ポルノは現実」として万人に公開されるべきと考えるグループや、人間の行動を理解するための教育手段と称して映画を製作したプロデューサーや監督だ。
では、損をする人たちはだれだろう。①宗教を通して正しい道に人々を導こうとするグループ②不道徳な行為を子どもたちに見せたくない親③道徳やフィリピン人が持つ素晴らしい価値観を世に広めようとする宗教家④「道徳と清廉」の確立を掲げるアロヨ新政権——だろう。
大統領は既に映画を観て「ソフトポルノ」と評した。大統領の見解を否定しても意味はない。正しい行政を目指す新政権の方針にそぐわないポルノ映画は必要ないからだ。シン枢機卿に対する批判も出ているが、彼は多数の信者に正しい道徳を教えていく義務がある。
政教分離は今のフィリピンの民主主義においては時代錯誤でしかない。わが国はアジアで最も「報道の自由」が確立され、枢機卿も表現の自由を尊重している。だが、国民の知性や感性、価値観に悪影響を及ぼすことに反対するのは、彼のフィリピン国民としての権利だ。(30日・ブリティン、ヘルミニオ・オルドニェス氏)