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2月12日のまにら新聞から

非暴力の精神を立法化へ

[ 694字|2001.2.12|社会 (society)|新聞論調 ]

銃規制の強化策

 民間調査機関が昨年十二月に十八歳以上の成人を対象に行った銃器の取り締まりについての調査結果によると、回答者の八三%が銃器の所持をもっと制限すべきだとしているのに対し、武器の所持規制を緩和すべきだと答えたのは一六%にすぎない。銃規制の強化を求める声は高いが、その地域別構成を見ると、ルソン島の都市部で九〇%と最も高く、逆にビサヤ地方の農村部で最も低く七一%だった。年齢層別や所得別でみても平均して銃の規制の強化を求める人が大多数を占めている。

 この銃規制に対する支持層の幅広さを考えると、今こそ規制を強化するチャンスかもしれない。今回のピープルパワーによる無血の政権交代の実現は、銃や国家権力という暴力に対する勝利の結果だったと言える。この非暴力の精神を平和と侵略のない社会を形成するための立法化へとつなげなければならない。          

 エストラダ前政権は、この非暴力実現に向けた試みを十分に行ってこなかった。銃規制の定義を自由に解釈しただけだった。今回のエドサに集った大統領退陣を求める民衆に対しても、国軍に政権の防衛を命じるつもりだったといわれる。フィリピンは市民戦争の危機に直面していたのである。

 前政権が銃規制に対して唯一輝かしい業績を残した分野は、密輸銃火器などの取り締まりだった。ミンダナオ島の反政府ゲリラに対する全面戦争政策を進めるために必要だったのである。しかしこの種の密輸銃火器などの取り締まりは、一般社会の平和と秩序の確立にはほとんど改善をもたらすことはなかった。死刑制度の復活によっても改善されなかった社会の秩序を回復するためにも銃規制の強化は必要だ。

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