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11月20日のまにら新聞から

貧富や階層乗り越え     

[ 591字|2000.11.20|社会 (society)|新聞論調 ]

国民を一枚岩にしたスト

 「国民のストライキ」は抗議運動の歴史を塗り替えた。今回初めて、貧富や階層、政治的信条の違いを乗り越え、多くの参加者がエストラダ大統領の辞任を訴えた。

 国民から退陣を要求された大統領は、エストラダ大統領が初めてではない。ただ、国民をここまで一枚岩にしたのは、現大統領が初めて。エストラダ氏は歴代大統領がなしえなかったことをやり遂げたのだ。

 今回のストで特筆すべきは、財界から多くの人々が参加したことだろう。証券取引所からも約三百人の職員がストに加わった。これは、株価を続落させてきた現政権への退陣要求にほかならない。

 現政権は、「辞任要求運動は、マカティ市のビジネスエリートが仕掛けた政略」と宣伝してきた。また、貧困層を対象にした式典で、大統領は「財界人たちは、私たちを混乱に陥れようとしている」と演説し、国民の分断を図った。

 しかし、国民は既に、大統領の掲げるスローガン「貧者のために」が絵に描いたもちに過ぎなかったことに気付いていた。大統領が違法とばくで法外な収入を得、豪邸を購入していたことを知り、失望したのだ。

 政府は辞任要求の高まりに対抗するため、宗教団体頼みの集会を開いた。数百ペソの「参加料」で貧しい人々をかき集め、集会規模の大きさを誇示した。

 国民が一枚岩になったストと宗教団体に依存した集会。大統領は、この二つが全く異質なものだということを悟るべきだ。

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