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9月11日のまにら新聞から

投資家の信頼回復を

[ 581字|2000.9.11|社会 (society)|新聞論調 ]

ペソ続落対策

 歴代の政権は例外なくペソ下落に頭を痛めている。いかに危機的状況を回避するかが、大統領の力量を図る物差しの一つになってきた。経済の国際化や変動相場制の導入など情勢が目まぐるしく変化する中、大統領には時代に即した判断が求められている。

 一九九七年のアジア通貨危機では、フィリピンも大きな痛手を受けた。エストラダ大統領は先に通貨危機再発の可能性を指摘していたが、今その危ぐが現実になった。先月からペソの対ドルレートは続落し、ついに中央銀行がドル売り介入に踏み切った。

 ペソ安を招いているのは、国内総生産の成長率やインフレ率などの経済指標ではなく、「政府は様々な問題に断固とした姿勢を示すことができない」「アジア通貨は今後も続落するだろう」という憶測だ。

 言うまでもなく、政府は確固とした政策や姿勢を対外的に示す必要がある。それが、投資家の信頼回復、そしてペソの続落防止にもつながるのだ。

 このような問題に直面しているのは、何もフィリピンだけではない。他国も同様の改革を進めているからこそ、エストラダ大統領は問題と真っすぐ向き合う姿勢を国民に示さなければならない。そうすることで、「犠牲」に対する国民の理解を得ることもできる。

 ドル売りや金利引き上げだけが対策ではない。今、求められているのは、有効な政策を立案、断行し、移り気な投資家の信頼を取り戻すことだ。

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