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10月20日のまにら新聞から

「大統領の資質なし」 サラ氏がマルコス氏を強烈批判

[ 1501字|2024.10.20|政治 (politics) ]

サラ・ドゥテルテ副大統領がマルコス氏は大統領になる資格がないと痛烈に批判する記者会見を行った

 サラ・ドゥテルテ副大統領は18日、首都圏マンダルーヨン市で記者会見を開き、「マルコス氏は、大統領としての資質がない」「彼のパフォーマンスは10点満点中1点」と2022年の大統領選でタッグを組んだマルコス氏を強烈に批判した。麻薬撲滅戦争に伴う超法規的殺害事件に関する国際刑事裁判所の捜査を巡る現政権の方針や下院での副大統領室の機密費問題などに関する公聴会で批判にさられている副大統領が、今年6月の閣僚職の辞任に続き、今回の記者会見で大統領を痛烈に非難したことから両者の決裂は決定的になった。

 19日付英字紙スターによると、サラ氏はマルコス大統領やマルコス家を批判する発言を2時間以上も続け、副大統領室の公式フェイスブックで公開した。

 サラ氏はまずマルコス大統領について「国のリーダーとして自分の欠点を改善することを拒否する『敗北』大統領だ」と指摘し、「ミスター・詐欺師」と呼んだ。また、2022年の正副大統領選でタッグを組んだ自身の決定についても触れ、「誤りだった」とも発言した。

 サラ氏はさらに、SNSのグループチャットでアイミー・マルコス上院議員に対し、「マルコス家が(ドゥテルテ家に対する)攻撃を止めないのであれば、あなたたちの父親の遺骨を英雄墓場から掘り出し、西フィリピン海に投機する」と何度も警告したと明かした。この投稿に対してはアイミー氏から何の返答もまだ返ってきていないという。マルコス元大統領の遺体はドゥテルテ前政権の承認を得て、北イロコス州から首都圏タギッグ市の英雄墓地に移され、埋葬されたという経緯がある。

 一方、サラ氏は2022年の正副大統領選への立候補について、当初は自身がダバオ市長選への再選を目指していたものの、アイミー氏がサラ氏に弟のマルコス氏とタッグを組み副大統領として立候補するよう説得してきたと明らかにした。その際、アイミー氏は「あなたがビサヤ地方の票をわれわれにもたらしてくれなければ、(対立大統領候補の)ロブレド氏に負けてしまう」と危機感を口にして副大統領への立候補を請願したと強調した。

 それに対して、サラ氏は最初、自分の代わりにパッキャオ上院議員やデラロサ上院議員、ボン・ゴー上院議員とタッグを組むよう提案した。マルコス家はパッキャオ氏にもアプローチしたが結局、パッキャオ氏はマルコス氏の副大統領候補としてタッグを組むことを拒否し、自身が大統領選に立候補することを決心したため、サラ氏が副大統領候補になることを受け入れたという。

 ▽マルコス氏も弾劾に相当

 また、サラ氏は、記者会見で、副大統領選に立候補する条件としてマルコス陣営に対して、自身を国防大臣に任命することと、子どもたちと会えるよう定期的にマニラからダバオ市に帰省することを承認して欲しいと伝えたことも明らかにした。しかし、大統領選の投票結果で、サラ氏がマルコス氏を50万票近く上回る得票数を獲得したことが判明したため、サラ氏が「このまま自分が国防相になればマルコス政権を転覆させるクーデターを引き起こすことを計画していると国民に思われるにちがいない」と考え直し、教育相への就任を願い出たと説明した。しかし、ダバオへの定期的な帰省は認められず、代わりにマルコス家がその特典を享受していると強調した。

 最後にサラ氏は「マルコス大統領自身が弾劾裁判にかけられるべき五つの訴因を抱えている。私はそのリストを持っている」と指摘した。具体的な内容には触れなかったが、「与党が支配する今の下院議会ではマルコス大統領に対する弾劾裁判は成立しない」との認識を示した。(澤田公伸)

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