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9月25日のまにら新聞から

「RAA年内に承認可能」 会見でエスクデロ上院議長

[ 2067字|2024.9.25|政治 (politics) ]

FOCAPの会見で上院のエスクデロ議長「日比RAAの議会承認は今年中にも可能」

質問に答えるエスクデロ上院議長=24日午前、首都圏マニラ市で竹下友章撮影

 条約承認権を有する上院のエスクデロ議長は24日、外国人特派員協会(FOCAP)の会見で、訪問部隊の法的地位を規定する部隊間協力円滑化協定(RAA)の議会承認について、「10月末までに政府から上院に条約案が送達されたら、1カ月で票決し、年内に承認することが可能だ」との見通しを示した。一方で、7月に比日政府間で署名された 同協定について「既に署名されているのに、まだ外務省から上院に条約文書が送られていない」とし、「今年中に承認できるかは、政府が上院に条約案を来月末までに送達するかどうかにかかっている」と強調した。

 「中国が実力行使を強める南シナ海問題への対応について、RAAにどんな期待を持っているか」という質問には、「紛争を回避する最良の手段は抑止だ」と指摘。「抑止のためには強い軍事力が必要だが、比は強力な軍事力を保有していない。日本や米国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州連合(EU)との同種の協定を結ぶことは、抑止力向上に役立つ」とし、「日本とのRAAは極めて重要だ」と強調した。

 カナダ、ニュージーランド、フランスとの間でそれぞれ検討や交渉が始まっている訪問軍地位協定(VFA)についても、「中国が攻撃的姿勢を見せるなか、抑止力向上に効果的だ」と賛意を表明。さらに、「メンツを重視する中国に対しては、同志国との連携を強化し、共に中国の国際法違反行為に立ち向かう姿勢を示すこと自体もまた有効だ」とし、「大統領は国際世論を味方につけることに成功している。こうした条約の締結は大統領の実績となるだろう」と評価した。

 「訪問部隊が国内で犯罪を犯したとき、過剰に容疑者の権利が保護される条項がRAAに盛り込まれている懸念はないか」との質問には、2014年に米海兵隊員が比人トランス女性を殺害した事件に触れ、「比で犯された犯罪については、確実に比の法律で裁かれるよう政府は日本と交渉したはずだ」と期待を寄せた。

 予算審議がある中、年内承認に自信が持てる理由については、「90年代に一度米比基地条約(の更新)を拒否した以外、上院が歴史上、安全保障関係の条約の承認を拒否したことはない」と指摘。「法案なら修正可能だが、条約は議会では修正できない。したがって迅速に票決に進むことができるだろう」とした。

 ▽改憲は「役に立たない」

 現政権が推し進める外資規制の撤廃に絞った改憲案に、慎重な姿勢を示してきた同議長。「なぜ改憲に反対なのか」との質問には、「全く外資誘致に役に立たないことは明らかだ」と断言。

 提案されている改憲案は、憲法に規定がある①公益事業②教育機関③広告業ーーへの外国人所有率規制の撤廃を目指す内容。エスクデロ議長は①について、2022年の公共サービス法改定を念頭に「既に法改正で公営事業への外資所有を開放している。いくつか最高裁で争われているケースはあるが、現在は事実上の制限はない」と主張。②についても「われわれは4年前に教育機関の外国人所有を可能にする法律を通したが、それ以前でさえ完全外国所有のインターナショナルスクールが設置できていた」とし、「既に開放しているものを開放するための改憲に意味はない」と指摘。③については「既に地政学的センシティビティーなど関係なく表現できているのに、外資が参入したところで経済成長にどうつながるのか」と疑問を呈した。

 同議長は「私は本質的に改憲に反対しているわけでないが、現在の改憲案は全く外資誘致に役に立たない。外国企業から話を聞けばそれが分かる」と批判した上で、「人々が改憲に疑問を抱くのは『別の隠れた意図』があるからだ」と発言。「私は上院で改憲動議を棚上げする立場を明確にする。議員からも賛同を得ている」と説明した。

 ▽サラ氏弾劾のうわさ

 サラ副大統領を弾劾にかける計画があるとのうわさについては「それに言及しているのはサラ副大統領とトリリャネス前上院議員だけ。(弾劾裁判開廷権限を持つ)下院は否定している」と否定。「上院議員たちにもこうしたうわさにコメントしないように呼びかけている」とした。その上で、仮に副大統領への弾劾裁判が開かれた場合は、「上院議長が裁判長となるのが憲法の規定だ」と指摘した。

 国際刑事裁判所(ICC)に復帰する場合に、上院が果たす役割については、「国際条約に加盟、脱退する権限は、外交の最高権限を有する大統領にある。上院の役割は条約加盟の承認・不承認だけだ」と説明。また、前政権で国家警察長官を務め「麻薬戦争」を実行したロナルド・デラロサ現上院議員を念頭に、「上院議員にもICCからの逮捕状が出たとのうわさも広がっている」と触れた上で、「比がICC加盟国でない今、ICCが発付する逮捕状が比国内で効力を持つとは認識していない」と述べた。

 ただし、「ICCが国内裁判所に助けを求めた場合は別」とし、「今のところICCは国内裁判所に(逮捕状発付の)協力を要請していない」と述べた。(竹下友章)

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