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9月5日のまにら新聞から

「全内乱を完全終結させる」 ガルベス大統領顧問が会見

[ 2153字|2024.9.5|政治 (politics) ]

ガルベス大統領顧問「国内のイスラム武装勢力・共産主義勢力による武力紛争をマルコス政権内で全て終わらせる」

記者の質問に答えるガルベス和平・和解・統合担当大統領顧問=4日、首都圏マニラ市マニラホテルで竹下友章撮影

 ガルベス和平・和解・統合担当大統領顧問=前国防相、元国軍参謀総長=は4日、9月の国家和平認知月間の活動の一環として記者団を首都圏マニラ市のホテルに招き、質疑に応じた。同大統領顧問は、全ての国内紛争が終わりつつあることを強調。イスラム武装勢力・共産主義勢力との紛争を現政権内で全て終結させる意欲を語った。

(竹下友章)

 ―内乱の終焉(しゅうえん)は近いのか。

 内乱は終結に差し掛かっている。バンサモロでは2017年のマラウィ包囲戦を最後に大きな武力紛争は発生していない。バンサモロ基本法の承認(2019年)以降、(最大のイスラム武装勢力である)モロイスラム解放戦線(MILF)戦闘員2万6145人が退役した。約4万人いるMILF戦闘員の65%が退役済みだ。また、4千丁以上の火器が引き渡されている。

 (70年代最初に分離独立闘争を始めた)モロ民族解放戦線(MNLF)の戦闘員も約2千人が退役しており、(和平が結ばれていないイスラム武装勢力)アブサヤフやバンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)などのメンバーからも約1200人が政府との和解に応じた。かつてスールー州は最も恐れられるエリアだったが、今はアブサヤフの勢力下ではないことが宣言されている。

 バンサモロ・イスラム自治地域(BARMM)では、既に平和に根ざした発展が始まっている。2021年に経済成長率7・5%を記録。それ以前の最高は3%程度だったところから飛躍した。5割を超えていた貧困率はいま20%台まで縮小。いま、バンサモロは最も高成長な地域の一つだ。また、BARMMは9月に策定されたガイドラインにより、政府開発援助(ODA)を直接受け取ることができるようになった。

 ―民間監視団体が近年BARMMで暴力事件が増加していると報告し、25年の自治政府発足選挙の危険が高まっていると予想している。

 それは現実的な予測とは思わない。選挙前、選挙中、選挙後の暴力事件はありえるが、それは他の地域でも起こること。国軍、国家警察、選挙管理委員会は初のBARMM選挙に十分備えている。

 ―現在バンサモロ暫定統治機構の中心となっているMILF政党(統一バンサモロ正義党)が選挙に負けたとき、不安定化する危険はないか。

 まず第一に、われわれは二度と戦争しないことに合意した。それは、選挙の結果がどうあろうと、その結果を尊重するということを含む。第二に、政府によるMILF、MNLFへの経済社会協力と対話・共同は選挙の結果にかからわず続くということだ。

 19年にバンサモロ基本法の是非を問う住民投票が行なわれたとき、MILFのムラド議長率いる統一バンサモロ正義党(UBJP)の基盤は今ほど強くなく、たくさん懐疑論があった。来年に控える選挙よりずっとリスキーな投票だったが、ふたを開ければ、9割の賛成を勝ち取った。その後十分な移行期間を経て、UBJPの政治基盤は強固になった。タウィタウィ、北マギンダナオ、バシランの知事とも良好な関係を形成し、ほとんどの知事はUBJPを支持している。来年の選挙で同党は妥当かつ十分な議席を取れると思う。少数派に転落するとは思っていない。

 ―MILF戦闘員の中には「平和の配当」に不満を持つ人もいる。

 退役すると一人当たり100万ペソの現金がもらえるという誤解・混乱があった。政府は元戦闘員向け社会経済支援を行っており、それには住宅や社会保障、職業訓練、奨学金の提供などが含まれる。その総額を戦闘員の人数で割ると、一人当たり100万ペソを超える支援となる。しかしこれは一つの計算上の数値であって、この事業の対象には戦闘員の家族やコミュニティーも含まれる。この支援パッケージの中に現金給付も含まれるが、それは10万ペソだ。ただ、重要なことは、政府はバンサモロには総額4500億ペソという莫大な予算を投じており、今も毎年多くの予算を付けているということだ。

 ―BARMMの平和に関し、日本に望む支援は。

 日本政府と国際協力機構(JICA)からは極めて大きな支援を受けており、日本はバンサモロの最大パートナーの一つだ。例えば、JICAからはマラウィ市の復興に莫大な協力をしてもらった。日本政府からは小型武器および軽兵器の管理・削減協力、車両の供与など多くの支援を受けている。われわれは日本政府・JICAに深く感謝している。

 ―比共産党(CPP)・新人民軍(NPA)・民族民主戦線(NDF)との正式な和平交渉を始めたか。

 昨年11月に和平を目指す合意書に署名した。今も予備的対話を国レベル、地方レベルで続けている。今は、主要な課題を解消し、和平への道筋をつける共通基盤作りに取り組む段階。公式な交渉が始まった後に誰かにかき混ぜられては、困難な事態に陥るからだ。しかし、現政権中に最終和平合意に至れると自信を持っている。

 ―NPAがリクルートを通じ勢力を回復していると政府が報告した。

 政治的解決が必要だ。だが和平に至った後は、CPP・NPAは政府の一部に加わる。従って、リクルートを進める道理もなくなる。これまでの和平合意でも同じ経験をしている。

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