過去最大の203隻集結 南シナ海展開の中国艦船
比海軍「南シナ海の中国艦船が過去最大の203隻に増加。だからといって不法な行動が正当化されることはない」
フィリピン海軍は3日、南シナ海内で比が海洋権益を有する西フィリピン海に展開する中国海軍間、海警局巡視船、海上民兵船の観測数が、先月27日~今月2日の7日間で203隻に上ったと発表した。比海軍西フィリピン海問題報道官を務めるロイビンセント・トリニダッド少将は「観測史上過去最大の艦船数だ」と確認した。
前週の観測数は163隻で、40隻の増加。特に増加したのは最近緊張激化の中心となっている南沙諸島(カラヤアン諸島)エスコダ礁(国際名サビナ礁)で、前週の53隻から71隻に増加した。その内訳は、中国海軍艦9隻、海警局巡視船9隻、民兵船53隻で、比海軍が監視する島・岩礁の中で最も多くの中国艦船が観測された。
トリニダッド少将は「中国艦船がプレゼンスを増大させたからといって、かれらの不法、威圧的、攻撃的な行動や、欺瞞(ぎまん)的な言説が正当化されることはない」と指摘。「比国軍、比海軍は国際法を守りながら、領土防衛という使命に取り組み続ける」と述べた。
西フィリピン海で昨年来激化している中国船による放水砲発射、体当たりなどの妨害事件はこれまで、比が座礁させた旧式揚陸艦により実効支配を維持しているアユギン礁(英名セカンドトーマス礁)を中心に発生してきたが、7月に中国と取り交わされた同礁への補給に関する合意締結以降、緊張激化の中心はパナタグ礁(英名スカボロー礁)、エスコダ礁の二つに移行している。
▽補給ライン寸断も
エスコダ礁は比の補給任務の中継地点。最近中国による埋め立ての兆候が報告されており、同礁の実効支配が中国に奪取されれば、比の補給ライン寸断の危険もある。
そのため、同礁には4月から比沿岸警備隊(PCG)が最大巡視船「BRPテレサマグバヌア」=97メートル、日本供与=を長期展開する。しかし、先月19日には同礁周辺で補給任務向かう途中のPCG44メートル級巡視船=日本供与=が海警船に衝突され、船体に90センチの穴が空く事件が発生。25日には同礁周辺で漁業従事者への補給任務についていた漁業水産資源局(BFAR)の船が海警局船から放水され、衝突された。29日にはPCGによるBRPテレサマグバヌアへの補給任務を計40隻の中国艦船が阻止。31日には同最大巡視船が中国艦船10隻に取り囲まれ、海警局船から衝突されるなど、立て続けに妨害事件が発生している。(竹下友章)