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7月22日のまにら新聞から

緊張緩和で合意締結 セカンドトーマス礁で比中政府

[ 1247字|2024.7.22|政治 (politics) ]

比中両政府が南シナ海セカンドトーマス礁の緊張緩和に関する「予備的合意」を締結した

 比外務省は21日、緊張が激化する南シナ海アユギン礁(英名セカンドトーマス礁)への補給任務について、比中両政府が緊張緩和に取り組む「予備的合意」を結んだと発表した。合意の中には、双方の権益主張を害さないことが含まれた。

 2日に比で開かれた第9回比中2国間協議メカニズム(BCM)に続いて実施された複数回の協議を経て合意に至った。

 詳細な合意内容は明かされていないが、きょう行われるマルコス大統領3回目の施政方針演説の直前のタイミングでの発表。大統領が演説の中でどのように説明するかにも注目が集まる。

 昨年来、軍用級レーザー照射、巡視船艇間衝突、「致死的」水圧での放水砲発射による補給船・巡視船の破損、海警局による比補給物資強奪、刃物を使用した比軍ゴムボート破壊、親指欠損を含む比海軍職員の負傷など、同礁を巡る対立は人的・物的損害が出るところまで激しさを増している。今回の合意で、状況の沈静化と平和的な現状維持が実現できるかどうかがポイントとなる。

 一方、20日には、サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官が会見で「米政府は補給任務の継続できるように緊密に協力しており、任務継続のために必要なことを行う」と表明し、「緊張緩和と補給継続能力の確保が最も重要だ」と強調している。米国政府とも歩調を合わせた上で比中間合意が実現した可能性もある。

 中国の海洋進出に対抗し、比政府は1999年、アユギン礁の礁湖内に旧式揚陸艦「BRPシエラマドレ」を意図的に座礁。そこを詰め所として実効支配を継続したが、現在礁湖の入口など周辺に中国海警局船、海上民兵船が展開し、比の補給を妨害する万全の体制を整えている。

 5月に上空からの物資投下によって試みられた補給作戦では、中国が物資の一部を強奪。6月に実施された補給は海警が比海軍ボートを斧などでパンクさせたほか、海警局職員が乗り込み臨検、拿捕(だほ)、えい航するなど完全に比側が制圧され、補給作戦は失敗した。刃物を振り下ろしながら衝突を繰り返す海警局とのもみ合いの中で、比海軍特殊部隊に所属するジェフリー・ファクンドー等水兵は親指を欠損する重症を負った。

 同礁への管轄権を主張する中国は、比歴代政権と「職員の配置と食料や水の補給は容認するが、座礁艦への補修は認めない」という紳士協定を結んできたと主張する。マルコス政権に入っても、最初の数カ月は前政権との「紳士協定」が守られたほか、補給の事前通知や補給品を人道支援物資への限定を含む内容の「共通了解」や「新モデル」が交わされたとしている。

 低潮高地であるアユギン礁への主権的権利・管轄権は2016年南シナ海仲裁裁判所判断で比が有することが確認されており、比政府は公式的には同礁での補給活動への制限を容認することは国際法や憲法に抵触するとして、そうした非公式的な合意を否定する見解を示してきた。そのため、「紳士協定」の内容がどれだけ新合意に盛り込まれるかも焦点になりそうだ。(竹下友章)

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