危険行為で中国を非難 初の対面会談で 比米国防相
比米現国防相が初の対面会談。南シナ海における中国の危険行動を非難した。
比国防省は15日夜、テオドロ比国防相とオースティン米国防長官がインドネシアで会談したと発表した。両者の国防トップとしての対面会談は初。両者は「比沿岸警備隊(PCG)によるセカンドトーマス礁(比名アユギン礁)への合法的な補給任務に対する妨害行為と、南シナ海で合法的に操業する米国の航空機と船舶への危険行為」について中国を非難した。
オースティン長官は「米国による比へのコミットメントは鉄壁であり、比の排他的経済水域(EEZ)の主権的権利および管轄権の防衛に関して米国は比と足並みをそろえて協力する」とのバイデン大統領のメッセージを伝達。両者は「比米相互防衛条約が南シナ海を含む太平洋での両国の軍、航空機、沿岸警備隊船を含む公船に対して及ぶ」ことを再確認。南シナ海問題での比米の結束をアピールするとともに、中国をけん制した。
両者はまた、中国の妨害行為に対し世界各国から懸念が表明されたことにも「留意」しながら、中国側の主張を全面的に退けた2016年の南シナ海仲裁裁判所の判断が「当事国に対し最終的か拘束力がある」ことを強調。中国に対し「国際法の下の義務」を果たすよう求めた。
先月22日には南シナ海南沙諸島アユギン礁を実効支配するための詰め所として座礁させている比海軍艦への比による補給任務の最中、初めて比中船舶間で衝突事故が発生。同月24日には、南シナ海の国際空域で飛行していた米軍の戦略爆撃機「B52」に対し、中国軍の戦闘機「殲11」が3メートルの距離まで急接近する事件も発生していた。
両者は防衛協力強化協定(EDCA)の下、米軍利用可能施設の一つとして建設されていたパンパンガ州バサ空軍基地の滑走路=建設費2400万ドル=が完成するなど、防衛協力が進展したことを歓迎し、EDCA事業を加速化させることを約束。さらに、来年の年次比米総合軍事演習バリカタンなど共同訓練を「他の同志国」にも拡大させる意向を表明した。さらに、比米軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や、米国が比軍の近代化を中期的に支援するフィリピン安全保障部門支援ロードマップ締結に向けた作業の加速化を確認した。
会談は同日開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議プラスのサイドラインとして行われた。(竹下友章)