EDCA施設「増設検討」 両軍年次会合で米軍司令官
比米両軍が比国内で米軍が利用できるEDCA軍事施設の増設を検討中だと明らかに
首都圏ケソン市国軍本部で14日、比米両軍の年次相互防衛委員会・安全保障関与委員会の会合が開かれた。直後の会見で米インド太平洋軍のトップ、ジョン・アキリーノ司令官は、比米防衛協力強化協定=EDCA、2014年締結=に基づき米軍が利用可能な軍事施設を、さらに増設する提言を行うことを両軍が検討していると発表した。
EDCA施設を巡っては、2016年に決定した5カ所に加え、昨年ハワイで開催された会合で米国から出された要望に基づき、今年4月に台湾近くのカガヤン州など4カ所の追加が発表されたばかりだ。
同司令官は「これらの拠点は比国軍が日常的に使用し、米軍が招待された時に参加できるものだ」と、純粋な「米軍基地」に当たらない点を指摘しながら、施設整備に米国が「約1億1000ドル(約147億円)の資金を投入することを確認した」と報告。既存の32整備事業に加え、63の新規事業が承認されたとした。
ブラウナー参謀総長は、来年には多くのプロジェクトが「合同演習実施のための運用段階に入る」と明らかにした。
アキリーノ司令官とブラウナー参謀総長は13日、カールソン駐比米国大使を伴い追加設置予定地であるカガヤン州サンタアナ町のラルロ空港とカミロ・オシアス海軍基地、最初の5施設の一つであるパンパンガ州のバサ空軍基地を視察した。
バサ空軍基地でアキリーノ司令官は「1年前にもここに来たが、滑走路をはじめとして全ての工事が素晴らしいスピードで進んでいる」と喜びを表した。「EDCA施設は台湾有事の際にどう利用されるか」との質問に対しては、直接の回答を避けながらも「ラルロ基地は『何がなされ得るのか』を示す素晴らしい例となる。この場所は人道支援をより迅速、堅実に実施するために選択されている」とした。
EDCA1条3項で、EDCA施設は人道支援・災害救援、共同訓練の他に「両国が合意するその他の活動」に利用することができると定められる。台湾有事の際に米軍の前線基地として利用される可能性について、米国のカールソン駐比大使は「EDCAを米軍が使用する際は比政府からの『招待』が必要だ」と述べ、比政府の合意が得られた際には利用可能であることを示唆する発言もしている。こうした事態に中国政府は繰り返し懸念を表明している。
4月に追加が決まった4施設の場所の内3カ所は台湾に近いルソン地方北部、1施設は南シナ海に面するパワラン州南端となっている。(竹下友章)