前正副大統領と相次ぎ会談 「対ロムアルデス同盟」構築か
アロヨ元大統領がドゥテルテ前大統領、ロブレド前副大統領、ソット前上院議長らと相次ぎ会談
アロヨ元大統領=現下院副議長=がこのほど、ドゥテルテ前大統領、ロブレド前副大統領、ソット前上院議長ら有力者と相次いで会談したことが明らかとなり、2025年の中間選挙、28年の統一選挙に向けた政治同盟結成に動いているとの憶測を呼んでいる。
アロヨ氏は大統領経験者の中で唯一の現役国会議員。昨年の統一選ではサラ・ドゥテルテ氏の後見人としてマルコス―サラ正副ペアの結成に一役買うなど政治的影響力をみせた。その影響力を、現下院議長でマルコス大統領のいとこであるロムアルデス氏は警戒しているとされ、5月には突然アロヨ氏が下院首席副議長から副議長に格下げされている。その直後にサラ副大統領はロムアルデス氏が率いる最大与党ラカスCMDを離党しており、共に次期大統領の座を狙っているとされるサラ氏とロムアルデス氏の対立が表面化し始めたと受け止められた。
ロブレド氏、ソット氏は昨年の統一選でそれぞれ大統領候補、副大統領候補として約1500万票(得票率28%)、約820万票(同16%)を獲得するなど巨大な支持層を擁する。一方、ドゥテルテ氏は歴代最高の支持率で任期を終えた大統領で、サラ氏の父親だ。
ロブレド氏とソット氏は先の選挙ではサラ氏とは対立陣営。前政権期、ドゥテルテ大統領とロブレド副大統領の関係は冷え切っていた。そこにアロヨ氏は、自分を介して幅広い政治的友好関係を築くことで、最大与党を率いるロムアルデス氏に対抗するための政治勢力の構築に動き出したのでは、との憶測が飛んだ。
さらに究極の狙いは、自身を中心とするグループをもって28年の大統領選においてサラ氏への後援を主導することで、サラ政権発足後に政府に大きな影響力を持つ存在として君臨することなのではと比ジャーナリスト間ではささやかれた。
飛び交う憶測に対しアロヨ氏は声明で「ロブレド氏との会食は共通の友人を介した社交。ビコール地方の政治についておしゃべりした」とし、沈静化を図った。一方、ドゥテルテ氏との会談に同席したボン・ゴー上院議員は、アロヨ氏がドゥテルテ氏に政界復帰を促したことを明らかにしている。(竹下友章)