「防衛協力のさらなる深化を」 大統領、両院議長と会談
自民森山議員ら比日友好議連が両院議長、大統領と会談。防衛協力の強化を申し合わせた
日比友好議員連盟の会長で自民党選挙対策委員長の森山裕衆議院議員(自民森山派会長、元農林水産相)が率いる同議連訪問団が7月30日~8月2日の比訪問日程を終えた。議員団は比沿岸警備隊本部への視察のほか、7月31日には上下両院を訪問、両議長らと会談し、両院では比日友好強化を顕彰する決議が採択された。
また1日には大統領府を訪問し、マルコス大統領と会談。両国の防衛協力強化に取り組むことを申し合わせた。比日両政府は現在、訪問部隊の法的地位を定める円滑化協定(RAA)、相互に兵站(へいたん)を支援する物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向け協議中。両協定とも議会の承認が必要だ。
さらに、日本が今年から開始した「同志国」に無償で防衛装備品を供与する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に関連する、「防衛装備移転三原則」の緩和も与党・政府で検討されており、議員外交が比日安全保障協力の強化にとって一層重要となっているタイミングでの訪問となった。
大統領との会談で森山議連会長は「防衛産業に関し、政府間協力を強化することが極めて重要だ」と強調。共同訓練が活発に実施されるなど比日安全保障協力が進んでいることに歓迎の意を表した上で、「比はOSAを通じた最初の供与対象国候補の一つだ」と報告した。
比には供給実績のある警戒管制レーダーが供与される見通しだが、アニョ大統領顧問(国家安全保障担当)は国軍側の要望装備品リストを提出したことを明らかにしている。
またマルコス政権が重視する農政について、同会長は「食料安全保障と経済改革には、『強い農業』と農業インフラ整備が極めて重要だ。農業は一般国民の生活に必要なだけでなく、さらなる工業化やデジタル改革推進の強固な礎となる」と指摘。「日本は農業技術移転など各種協力に関し、比の強力なパートナーだ」と述べた。
マルコス大統領は日本との防衛協力について、「装備品の供給や(比国軍と自衛隊の)相互運用性向上に関する協力には価値があり、一層強化しなくてはいけないと思っている。この地域がかつてと異なる変化の激しい状況に直面するなか、比日防衛協力の強化を継続して行う必要がある」との考えを示した。
さらに比日米の安全保障に関する「3カ国協定」に向けた取り組みにも触れ、「われわれは海路の平和と安全、領土的権利と主権の保証を望んでおり、3カ国協定はそれにとって間違いなく非常に重要なステップだ」と強調した。
農業・インフラ協力に関しては、「日本は比におけるインフラ事業の成功の鍵であり続けてきた」とし日本の貢献を高く評価。官民合わせた協力継続への期待を表明した。
森山氏ら訪問団は7月31日に比議会を訪問。その日に合わせ、上下両院では比日の強力な友好関係を表彰する決議(上院第77号、下院決議1146号)が採択された。上院では全会一致で採択され、下院決議はロムアルデス議長や大統領長男のサンドロ議員らが起草者に名を連ねた。
比で条約批准権を有するのは上院だが、5月にズビリ上院議長、アイミー・マルコス上院外務委員長ら11人が訪日し、「比日訪問部隊地位協定の締結を、緊急性をもって支援する」と表明している。(竹下友章)