COC3年以内に締結へ 南シナ海平和的解決なるか
中ASEAN外相会議が開催。南シナ海行動規範を3年以内に締結する方針で一致
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会談が13日にインドネシアで開かれ、成果文書として共同声明が採択された。AP通信はASEAN外交筋の情報として、各国外相らが3年以内に南シナ海行動規範(COC)を締結することで一致したと報じた。
領有権・管轄権の主張が対立する南シナ海を巡っては、2002年にASEAN加盟国と中国との間で国際法の順守と自制を求める南シナ海行動宣言(DOC)が採択されたが、中国はその後も比の排他的経済水域(EEZ)内にあるルソン島西方沖のスカボロー礁の実効支配を奪い、同じく比EEZ内の南沙諸島ミスチーフ礁に軍事施設を建設するなど現状変更を進めてきた。マルコス政権は法的拘束力を持つ見込みのCOC早期締結が紛争の平和的解決の手段であると訴えている。
AP通信はまた、今回の会議でCOCが法的強制力を持つかどうか、適用に関する地理的範囲など、最大の争点となっている問題に関する議論を定める一連のガイドラインについても合意されたと報じた。
外相会談には、中国からは秦剛外相(外交部長)でなく外交トップの王毅共産党中央政治局委員が参加。共同声明では、国際法に基づく航行・上空飛行の自由の尊重や、力の行使や威嚇によらない領有権・管轄権問題の平和的解決、無人島・岩礁への人員配置など「紛争を複雑化・エスカレートさせる行為」の自制などを規定するDOCの「完全かつ効力のある」実施のほか、「COCの早期締結に向け作業する」ことが約束された。
また、中国を中心とする経済圏構想「一帯一路」について、ASEAN版のインド太平洋構想であるASEANインド太平洋構想アウトルック(AOIP)と「互恵的な協力を促進する」ことで一致した。
2019年に発表されたAOIPは航海・飛行の自由、透明性、国際法尊重などをうたっており、第2次安倍政権下の2016年に世界で初めて「自由で開かれた太平洋」(FOIP)を提唱した日本、トランプ政権下の2017年にやはりFOIPを採用した米国ともに、自国のFOIPと一致するとの認識のもと、AOIPへの支持を表明している。(竹下友章)