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5月17日のまにら新聞から

防衛協力の進展を歓迎 多国間協力を着実に実施

[ 1244字|2023.5.17|政治 (politics) ]

マナロ外相が林外相と会談。防衛装備品の移転や比日米3カ国協力を進めることを確認

マナロ外相(左)と林芳正外相=16日、東京(在フィリピン日本国大使館提供)

 訪日中のマナロ外相は16日午後、林芳正外相と会談を行った。マナロ外相はミンドロ島油流出事故での日本の迅速な支援に謝意を表明した上で、2月のマルコス大統領訪日時に発表された比日共同声明に従い両国間、比日米3カ国間および多国間の協力を着実に実施することで一致。また防衛装備品の移転が進展していることを歓迎した。林大臣は比の上位中所得国入りを力強く支えていく意思を改めて強調した。

 マナロ外相は今年の先進7カ国首脳会議(G7)議長国の日本が、インド太平洋地域の視点やG7以外の国々の関心を踏まえて準備を進めていることに歓迎の意を表明。両相は東・南シナ海情勢、経済的威圧、ウクライナ情勢、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応などについて緊密に連携することを確認した。

 比では昨年から日本国産完成防衛装備品初の国外輸出事例である三菱電機製警戒管制レーダーの移転が進んでいる。また、今年から始まる「同志国」に無償で防衛装備品を供与する政府安全保障能力強化支援(OSA)の最初の支援対象国に比は内定している。

 ▽米中対立「管理」を

 同日午前、マナロ外相は政策大学院大学で講演を行った。その中で同相は「戦後の灰燼(かいじん)から、和解、友好、協力、相互尊重の旅路を経て、比日は包括的で活気ある戦略的パートナーシップを築いた」と戦後の歩みを振り、その上で海洋進出を強める中国を念頭に、「過去70年間この地域の平和と繁栄を支えてきた『ルールに基づく秩序』に挑戦する動きは、われわれが直面する大きな課題だ」と指摘。

 「国連海洋法条約と南シナ海行動宣言に反し、比の主権、主権的権利、管轄権を脅かす行為が繰り返し行われていることが比日の防衛能力強化を必要とさせている」とし「国連憲章に違反する強制、脅迫、武力行使や武力行使の脅威による影響力に対して外交と法の支配が勝るような地域の構造にしなければならない」と強調した。

 また、韓国を除くアジアのどの国も持っていない比日の共通点として、「防衛条約に基づく米国との同盟」を挙げ、「米国との歴史的に重要な関係は、中国との巨大な経済関係と並んでいる」と指摘。「比日は中国と米国の両方に建設的に関わり続け、米中間の戦略的対立を責任を持って管理するよう努力する必要がある」と訴えた。

 また同相は、今後数年間で特に両国関係が強化される領域として①インフラ、先端技術、気候変動に配慮した持続可能・包摂的な経済②人的交流③海上法執行、海洋状況把握、海上人道支援・災害対応④サイバーセキュリティ、宇宙状況把握を含む宇宙協力――を挙げた。

 講演後の質疑応答で、どのような比日米の3カ国の安全保障協力を議論しているかについて聞かれた同相は「スルー海南部などでこれまでも比日米合同海上活動は行われてきたが、まだ初期の段階だ」とし「どのような活動をどのような条件下で実施するか、3カ国間の取り決め作りに向け協議している」と説明した。(竹下友章)

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