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5月2日のまにら新聞から

「対中国で防衛協力強化」 萩生田政調会長が相次いで会談

[ 1408字|2023.5.2|政治 (politics) ]

自民の萩生田政調会長が比訪問。中国の脅威を念頭に官房長官、副大統領、上院議員らと議論

アイミー・マルコス上院議員(左)と会談する萩生田政調会長=4月30日、首都圏マカティ市日本大使公邸で竹下友章撮影

 自民党の政策責任者で、安倍元首相の逝去以来会長不在となっている自民最大派閥・清和政策研究会(安倍派)の次期会長候補としても名の挙がる萩生田光一政務調査会長(前経済産業相)が4月29~30日にかけ比を訪問した。

 同氏はベルサミン官房長官、サラ副大統領兼教育省、マルコス大統領の姉で上院4委員長を兼務するアイミー・マルコス上院議員など政府要人と相次いで会談。また比沿岸警備隊(PCG)本部を表敬訪問しプンザラン副長官と意見交換を行った。海洋進出を強める中国の脅威に対応するため、比側からはさらなる警戒管制レーダー移転や大型巡視船供与への希望が表明された。

 メディアに公開されたアイミー・マルコス上院議員と会談の冒頭で萩生田氏は、18日に逝去したデルロサリオ元外相を「南シナ海の確固たる守護者であり、岸田首相が外相時代に緊密に連携した同士だった」と哀悼の意を表明。昨年7月に安倍元首相が逝去した際、マルコス大統領が弔慰を示し、上下両院が追悼決議を採択するなど比が国家的な哀悼を表明したことに感謝した。

 その上で、「日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力関係が50周年を迎える今年、10年以上にわたり日本の戦略的パートナーである比を訪問先に選んだ」とあいさつした。

 またアイミー議員について「(日本政府が行う)『東南アジア青年の船事業』の卒業生ということで、長年両国の親善への尽力に感謝する」と述べたとき、アイミー議員から特段の笑みがこぼれた。

 アイミー議員は所属するナショナリスタ党が来週、総会代わりのクルーズを行う際に訪日する計画を明らかにし、「ここ9カ月で5回目の訪日となる。われわれはコロナ後の『リベンジ旅行』の目的地として、みな日本に夢中だ」と述べた。安倍元首相については「比でとても人気のある人物。比人に対する安倍氏の魅力は莫大で、彼の喪失を比国民は自分のことのように感じた」と故人を悼んだ。

 また「他の国が何を言おうとも、比インフラと開発に対する一番の援助国は日本だということをわれわれは十分に認識している」と明言。また「比が日本にとって最初の防衛装備完成品である警戒管制レーダーの移転先国であることも明確に認識している」とし、その上で、国防省、PCGのための追加レーダーのほか、通信システムの移転も求めた。

 会談後、萩生田政調会長は記者団に「比要人らに対し、日比両国は中国の東シナ海および南シナ海における力による一方的な現状変更の試みに直面する同志国との考えを伝えた」とし、アイミー議員との会談では「一層厳しさを増す安全保障環境に鑑みた防衛装備品移転や安全保障能力強化支援(OSA)の協力ありかたについて意見交換を行った。

 マルコス上院議員からは日本の国家安全保障戦略への支持とOSAへの期待が表明された」と報告した。

 「訪問部隊の法的地位を定める円滑化協定(RAA)については議論したか」とのまにら新聞の質問には、「両国で議論を進めることで合意しており、今回の会談でも議題に上った。党としては中身に口を挟む立場にないが、1日も早く実行に移すことが大事だとの認識だ。後押しできる態勢をしっかり作っていきたい」と語った。

 またPCG本部訪問時には「より大型の巡視船があれば帰港頻度を下げ南シナ海で長期操業できる」と要望があったことを明らかにした。(竹下友章)

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