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4月5日のまにら新聞から

72%が外国人土地所有反対 「いま改憲すべき」41%に増加

[ 1168字|2023.4.5|政治 (politics) ]

改憲を通じた外国人土地所有と天然資源開発の解禁、外資比率上限規制撤廃に7割が反対

 民間調査会社パルスアジアは4日、3月中旬に実施した憲法改正に関する世論調査結果を発表した。「今すぐ憲法を改正するべきだ」という回答は昨年9月の前回調査から10ポイント増の41%となり、「今改正すべきでない」の45%に迫った。一方、議会で改正が議論されている外資規制関連項目については、「外国人・外国企業による天然資源開発の解禁」に76%、「外国人・外国企業による居住用・工業用土地所有の解禁」に72%、「外資比率上限規定条項の撤廃」に67%が「反対」と回答した。

 「外国企業のメディア、広告業への参入規制緩和」については57%、「発電などの公益事業への外資規制撤廃」55%が反対。外資規制緩和関連項目は国民投票を通じた改正要件である過半数を軒並み下回った。

 3月8日に下院が95%の賛成で採択した憲法会議召集に関する決議では、経済条項改正を目的とすることが明記されていた。下院が行った世論調査では経済条項改正への賛成率は55%で、改憲に向けた動きの根拠の一つになっていたが、今回は正反対の結果が示された。

 下院でスピード可決された改憲手続き法案は現在上院の委員会レベルで審議されているが、今回の結果で上院の改憲消極派・反対派の意見がさらに優勢になりそうだ。

 「国家・地方で選挙を通じ選ばれる公職者の任期延長」に対しては、56%が反対と回答。選挙で選ばれる公務員の代表である大統領の任期は現憲法下で1期6年に制限される。上院議員は1期6年連続2期までで、下院議員および地方自治体首長・議員は1期3年連続3期までと憲法に規定されている。

 ▽8割が現行憲法知らず

 先月下院で通過した憲法会議召集を通じた改憲については、賛成が32%、反対が30%、「どちらでもない」28%、「分からない」が8%と割れた。国会でこうした改憲の提案がなされてることを「知っていた」と答えたのは47%、「今知った」は53%だった。

 選挙と任命を通じて招集される憲法会議を通じた改憲には140億~280億ペソの費用がかかると国家経済開発庁(NEDA)が推計しており、エンリレ大統領法律顧問は上下両院の4分の3の賛成票を通じた改憲発議を提言している。

 一方、現行の1987年憲法の内容について、「少ししか知らない」「知らない」と回答したのは79%。前回調査より6ポイント増加した。改憲議論が本格化するにつれ、少数派だった一定の憲法知識のある層の中でも自身の知識に対し慎重に評価する姿勢が広がったとみられる。改憲手続き論の前に現行憲法の問題点に関する国民的議論の必要性が浮き彫りになった格好だ。

 調査は3月15~19日の間、全国18歳以上の比人1200人を対象に対面形式で実施された。許容誤差はプラスマイナス2・8%。(竹下友章)

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