ゼレンスキー氏との会談受諾 ウクライナ支援表明も
大統領が去年6月から要請されていたゼレンスキー大統領との電話会談を受諾する意向を表明
マルコス大統領は15日、世界経済フォーラム年次総会に向かう飛行機の中でウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談について「会談には何の問題もない」と述べ、大統領当選後から電話会談を申し入れてきたウクライナ側の要請を受け入れる意向を表明した。
また大統領は「会談を行う限りは何らかの支援の表明を行う」とも発言。9月の国連総会演説では「比はどの国の敵でもない」と述べ、訪米中には西側諸国が経済制裁を行うなかロシアとの貿易を行う意向を示すなど、大統領は中露と西側諸国との間で勃発が懸念される「新たな冷戦」に加担しない姿勢を示してきた。しかし、ロシアの軍事侵攻から1年を迎える2月24日をめどにウクライナが和平交渉を本格化させているタイミングで、戦争の終結への協力という点で同国への支援の姿勢を示した格好だ。
フィリピンとの外交交渉を担当するミハイリウク駐マレーシア・ウクライナ臨時代理大使は11日のオンライン会見で、ウクライナ側がマルコス大統領就任前の昨年6月から電話会談を提案していたことを明らかにし、その上で「これまで月2回の頻度で比外務省に会談を申し入れてきたが、まだ回答をもらっていない」と発言。
それに対し比外務省のソレタ次官は12日、ウクライナ側が首脳電話会談要請の存在を公表したことに「よい外交のやり方ではない」と苦言を呈し、その後ミハイリウク臨時代理大使が謝罪する事態になっていた。
マルコス大統領は「(首脳電話会談の)調整は数カ月前から続いており、内容は決まっていない。ウクライナ臨時代理大使が『回答をもらっていない』と公言したときは驚いた」としながら、首脳会談要請を受諾する意向を表明。
一方で、ゼレンスキー大統領が2月24日の公表を目指す10項目の和平案を支持するかどうかについては「それ(和平案内容)を決めるのはわれわれではない」と距離を置き、「まず、これ以上の犠牲を出さないための戦争終結に向けた努力を支持する。領土の変更などの問題は2国間で交渉するべきだ」とした。
同和平案については「戦争終結の確認」や「ロシア軍の撤退」などのほかに「ウクライナの領土回復」「ロシアの戦争犯罪の訴追」といったロシア側が受け入れる可能性の低い項目も入ることが発表されている。ゼレンスキー大統領は、特にロシアにより一方的に併合された東・南部4州について「交渉の余地はない」と強い態度を崩していない。
ゼレンスキー大統領は来月の国連総会ハイレベル会合での演説を希望し、国連が関わる「平和サミット」の開催を提唱している。ミハイリウク臨時代理大使によると、ウクライナ側はそこで提言されるとみられる平和に向けた計画への比の参画を求めているという。(竹下友章)