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1月16日のまにら新聞から

「現実的な指導力発揮できる」

[ 1186字|2023.1.16|政治 (politics) ]

元国軍参謀総長で前内務自治相を務めたエドゥアルド・アニョ氏が大統領顧問(安全保障担当)に就任した

前内務自治相時代のアニョ新大統領顧問=2020年1月、首都圏マカティ市で岡田薫撮影

元国軍参謀総長で前内務自治相を務めたエドゥアルド・アニョ氏が14日、大統領顧問(安全保障担当)に就任した。大統領広報室によると、アニョ氏の任命は「下院議会政策予算調査局に加わり、学問的研究を継続したい」として辞任したクラリタ・カルロス氏の後任人事。

 今年に入ってバカロ国軍参謀総長が「(自分の知らないうちに)更迭された」としてファウスティノ国防相代行も辞表を提出するなど、マルコス政権内では閣僚級の交代や辞任が相次いでいる。

 また、殺人容疑などで解任された前矯正局局長に代わり、カタパン元国軍参謀総長が同局長に収まるなど、ドゥテルテ政権下からの元国軍トップの重用が現政権でも引き継がれている。

 ガルベス国防相は15日、アニョ氏の就任について「わが国のさまざまな安全保障上の懸念に対応するため、決断力に富み、情報に基づいた、現実的で的確な指導力を発揮できる人物」とし「緊密な協力を期待している」と述べた。

 特に「共産系ゲリラとテロリズムがもたらす武力紛争に対する全国的なアプローチの確固たる提唱者」でもある点を強調した。

▽アニョ氏人事に反発も

 一方、人権団体カラパタンは15日、アニョ氏の大統領顧問就任を受けて「歴代政権下でアニョ氏が関わった残忍な人権侵害の記録から、多くのフィリピン人には死刑宣告に等しい」と声明で批判した。

 同声明によると、アニョ氏はドゥテルテ政権下で内務自治相として、超法規的殺害や違法薬物取締キャンペーンが継続される環境を作り上げてきた。それ以前にも、アロヨ政権の陸軍情報局長だった2007年には、農民活動家だったジョナス・ブルゴスさんのら致・失踪事件の首謀者として、また15年6月にダバオ市パキバトで先住民3人が殺害、12歳の子どもが負傷した事件でも関与した第69歩兵大隊を率いた責任が問われている。

 カラパタンはその上で「われわれは指導的立場にあるアニョ氏に、治安部隊に殺され、誘拐され、行方不明となった何千人もの犠牲者への正義を求める」と訴えた。

 また、カラパタンは10日、国家警察犯罪捜査隊(CIDG)のロメオ・カラマト隊長およびカーリト・ガルベス国防相の任命を危惧する声明を発していた。

 カラパタンは声明で、カラマト隊長がドゥテルテ政権下にブラカン州警察本部長を務めていた際、同州で一度の違法薬物取締捜査で容疑者32人が「虐殺」された事件を挙げた。また、ガルベス国防相は、和平プロセス担当大統領顧問室(OPAPP)の顧問として、和平推進の印象が強いものの、国軍西ミンダナオ本部の司令官時代に、ミンダナオ島で度重なる爆撃作戦を実施。南ラナオ州のマラウィ市占拠事件でも、マウテグループなどテロリストに対する17年の掃討作戦で、住宅地に意図的に火を放つなど、焦土作戦を敢行したとしている。(岡田薫)

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