同盟強化の重要性を確認 マルコス、バイデン両大統領初会談
ニューヨークを訪問中のマルコス大統領は米国のバイデン大統領と短時間の会談を行った
ニューヨークを訪問中のマルコス大統領は米国時間の22日午前、インターコンチネンタルニューヨークバークレーホテルで米国のバイデン大統領と初の会談を行った。両首脳は比米の同盟強化の重要性を確認し、地域の平和に向けた協力を誓い合った。
短時間の会談ではまずバイデン大統領が米国側のメッセージを伝え、マルコス大統領がそれに応じる形式で進んだ。
バイデン大統領は冒頭、比大統領選の投開票が行われた5月9日夜遅くにマルコス大統領に電話したことを回想。両国関係が深いルーツに根ざしており、「揺れ動く時期もあったが、重要な関係であることは明らかだ。それは(マルコス氏も)同様の思いであるかと思う」と述べた。また、米国には何百万ものフィリピン系米国人が住んでおり、「彼らは祖国を大変誇りに思い、私たちの関係が強固であることを切に望んでいる」と告げた。
「独立外交」の下、それまでの米国一辺倒から距離を取り、親中を打ち出したドゥテルテ前政権下では、比米関係はややぎくしゃくした状態が続いてきた経緯がある。
その上でバイデン大統領は中国と近隣諸国との間で領有権問題を抱える「南シナ海の紛争について議論を行っていく」とし「私は中国の国家主席のみならず、他の人々とも、国際水域尊重の重要性を説き、多くの時間を費やしてきた」と説明した。
ロシアによるウクライナ侵攻に対しては、それがエネルギー価格と食糧価格にどう影響を及ぼしているかについて、「マルコス大統領の見解に感謝する」とし、その他に議論したいこととして、人権問題や新型コロナ禍での復興、エネルギー安全保障や再生可能エネルギーを挙げた。
マルコス大統領は6月30日の就任演説の中で、ロシアのウクライナ侵攻で「私たちは、自分たちに全く非の無い戦争が海外に広がる見通しに直面している。もし大国がウクライナで起きている悲劇から誤った教訓を得れば、同じように暗い紛争の見通しが、この地域にも広がるだろう」と述べていた。
一方でマラト・パブロフ駐比ロシア大使は6月、マルコス大統領が、同戦争に対し「独立政策を維持する」方針であることを明らかにしていた。
▽同盟国関係を再確認
マルコス大統領は、会談の機会を作ったバイデン大統領に感謝を表し、「私たちは米国のパートナーであり、同盟国であり、友人だ」と返した。「地域での平和維持における米国の役割は、地域すべての国々、特にフィリピンは高く評価している」とした上で、両国が100年以上の長期にわたって「政治や外交だけでなく経済面でも多くの協力関係を築けたことは幸運だった」と喜びを伝えた。
南シナ海問題に関しては「今日私たちが直面している地政学的な問題に関して、フィリピンが最重視しているのは、平和の奨励であり、それが比外交政策の指針となっている」と明かした。そして「過去数ヶ月間に生じたあらゆる複雑な問題の中でも平和が維持され、その道を突き進むため、両国が共にまた個別に果たすべき役割について、さらに話し合うことができれば」とも語った。
マルコス大統領はコロナ禍で米国が「他国に先駆けて、早い段階から約3600万回分のワクチンを供給してくれた」ことに改めて謝意を示した。(岡田薫)