「経済問題が最重要」 マルコス大統領が初閣議
マルコス新大統領が最初の閣議と記者会見を開いた。「最も重要な分野は経済」
ボンボン・マルコス大統領は5日午前9時ごろ、初の閣議を開いた。マルコス大統領は第一声で「われわれは全員、最も重要な分野が経済であると分かっている」と指摘。最初にジョクノ財務相、バリサカン国家経済開発庁長官、閣外から出席したメダリヤ中央銀行総裁を指名、経済の現状報告を求めた。
大統領は午後、就任後初の記者会見を開いて閣議の内容を報告。6月のインフレ率が6・1%になったことについて「まだそこまで高いとはいえない」との認識を示した上で「現在ドルは全通貨に対して高くなっている」とし、ドル高による輸入コスト上昇がインフレの主要因であると指摘。国内のインフレ率を適切な水準に抑えるための手段は、中銀による政策金利の調整だとの見解を示した。
インフレ率を押し上げている燃料価格高騰への対処については「今年いっぱい燃料補助政策を続けられるだけの財源はある」と発言。現在ジプニー(乗合バス)やバスの運転手・運用者を対象とする補助金を、トライシクル(サイドカー付きオートバイ)運転手・運用者まで拡大する意向を明らかにした。
さらに、多くの大学生に利用される首都圏鉄道(LRT)2号線の無料乗車事業については「学生を対象に継続する」と明言。運輸省は11月4日まで学生を対象にLRT2号線、軽量高架鉄道(MRT)3号線、国鉄の料金を無料とすると発表している。
小中高校の対面授業については、閣議で「サラ副大統領兼教育相が完全な対面授業再開までの計画を報告した」とし、8月から始まる来学期中に「9月から段階的に対面授業校を増やしていき、11月までに対面授業を100%にする」とのロードマップを発表した。
一方、トゥルフォ社会福祉開発相は閣議後、自身のフェイスブックで閣議の模様を報告。「政府支出削減のため公務員削減を断行すべき」と提言したある経済閣僚に対し、大統領は「雇用を守るべき」と難色を示し、提案を拒否したことを明らかにした。(竹下友章)