「COCは国際法に準拠すべき」 南シナ海問題米ASEAN共同声明
米ASEAN特別サミットの共同声明でCOCの国際海洋法順守の方針が明言された
12~13日に特別首脳会談を開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)と米国が採択した南シナ海(西フィリピン海)問題に関する共同声明の内容が明らかになった。その中では、ASEANと中国の間で策定が進められれている南シナ海行動規範(COC)について「国際法、特に国際海洋法(UNCLOS)に準拠すべき」と宣言された。16年に中国側の主張を全面的に退けた仲裁裁判所の裁定はUNCLOSに立脚しており、同裁定を「紙くず」として承認しない姿勢の中国とは対抗的な内容となった。
共同声明は「COCの策定を進める環境を維持する必要性を強調する」としてCOC策定自体には積極的な姿勢を表明。その上で、UNCLOSを「当該海域で実施される全活動が準拠すべき枠組み」と明記した。
中国政府は南シナ海問題を「アジアの問題」として域外国からの干渉に反対している。米国は「航行の自由を保証するという米国益に関わる問題」と宣言。積極的に関与する方針を明示している。
2002年にASEANと中国で合意した南シナ海行動宣言(DOC)では領土問題の平和的解決と自制が宣言されているが法的拘束力はない。中国はDOC合意後も南シナ海の暗礁を埋め立てや岩礁への建造物設置を進め、比政府からはDOC違反として抗議を受けてきた。
バイデン大統領が主催した米ASEAN特別首脳会議には比からはロクシン外相がドゥテルテ大統領の代理で参加。クーデターによって軍が実権を握るミャンマーは招待を受けなかった。(竹下友章)