「現政権と軌を一にできる」 最大与党がボンボン候補推薦
最大与党PDPラバンのクシー総裁はボンボン・マルコス大統領候補を党推薦候補とすると発表
最大与党PDPラバンのクシー総裁は22日、大統領選で故マルコス元大統領の長男ボンボン・マルコス候補を推薦すると発表した。21日開かれた同党役員会議で「最もドゥテルテ政権と軌(き)を一にする候補」として同候補を推薦する決議が採択された。各世論調査で「宿敵」レニー・ロブレド候補を大きく引き離しトップに立つボンボン候補が、最大与党の組織力を味方につけた。
ボンボン候補は同日、タガイタガイ市で記者団に対し「待ち望んでいた推薦だ。比人同士が敵対せず、社会が一つになるために重要な展開だ。我々を信頼してくれたPDPラバンの友人たちに感謝したい」と述べた。
ただし、同日の会見でアンダナール大統領報道官代行は「大統領自身がボンボン氏を支持するかはどうかは聞いていない」と発言。異例の人気を誇る大統領の後継者指名を得るには至っていないようだ。
▽二転三転した末に
PDPラバンは昨年10月の立候補届け出最終日、現政権下の麻薬撲滅政策で主導的役割を果たした元警察長官のロナルド・デラロサ上院議員を指名。デラロサ議員本人は「いきなり大統領選立候補を命じられ驚いた」と述べるなど、1カ月後の「正規」立候補者のための席取りなのは明らかとされた。
席を用意されたとみられるのは、ドゥテルテ大統領の長女でダバオ市長のサラ・ドゥテルテ氏。サラ市長はドゥテルテ大統領が9月に次期副大統領選へ立候補する意向を表明したことに反発し、自身の大統領選立候補を見合わせた。その後ドゥテルテ大統領は立候補を撤回、さらに今期限りでの政界引退表明を行った。
それでもサラ市長はPDPラバンからのラブコールに応えず、11月にラカスCMDからボンボン大統領候補とペアの副大統領候補として立候補。これにドゥテルテ大統領は激怒したとされる。
サラ候補にかき回されたPDPラバンは、最大与党ながら正副大統領公認候補を立てないという状態に陥いる。1カ月後にサラ候補は推薦したものの、大統領候補を推薦しないという状態が続いていた。(竹下友章)