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6月20日のまにら新聞から

新聞論調

[ 700字|2016.6.20|政治 (politics)|新聞論調 ]

可能性信じ協力を

 数年間にわたって実施の可否を議論した、初中等教育12年制度が本格始動した。初年度となる今年はシニア・ハイスクールの導入で職を失った教師や、教育費の増額に反対する保護者からの抗議が続出すると予想される。

 しかし、基礎教育期間を追加した新しい教育12年制は、わが国の教育制度が世界水準に達するためにも不可欠な改正だった。教育関係者の大量解雇につながるとの懸念は妥当といえるだろう。国は責任を持って教育関係者を支援し、職を失った教師に対する援助を惜しんではならない。

 新制度では、小学校入学前の教育2年間が義務化された。就学前教育が無料化され、貧困層の子供たちにも支援の手が行き届くことで、小学校入学前から児童教育を受ける富裕層との学力格差の解消につながると期待される。

 新制度はわが国の教育の質を改善するために重要な鍵となる。半世紀前、フィリピンの教育制度は東南アジア域内各国の手本と見なされてきた。しかし、高給を求める教師が働く場所を海外に求め優秀な人材が国内から流出するなど、さまざまな問題が重なり、教育の質は悪化の一途をたどった。

 教育の質の悪化は国の競争力低下につながった。近年になってようやく、崩壊状態となった教育制度の改善策が講じられた。任期満了が間近となったアキノ現政権は、教科書、教室の不足解消、教員の給与アップなどさまざまな政策を実行に移した。

 ドゥテルテ次期政権も新教育制度への支援を表明し、国家が発展するために最も重要な資源「人材」の開発に力を入れるとの姿勢を示している。新制度の可能性を信じて、国全体が一丸となって協力し、成功に導くべきだ。(13日・スター)

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