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9月12日のまにら新聞から

「政治的成熟の証し」か

[ 687字|2005.9.12|政治 (politics)|新聞論調 ]

大統領弾劾発議の却下

 アロヨ大統領は弾劾発議却下を確定した下院採決を「政治的成熟の証し」と評した。国民には「栄誉ある一日を歴史に刻んだ。より明るい明日へ向け進もう」と呼び掛けたが、採決の結果を喜んでいたのは大統領と与党議員だけだったように思える。

 憲法は弾劾発議の下院審議に最大六十日の日限を与えている。にもかかわらず、法務委員会はわずか十四日間で「発議却下」の結論を出した。審議内容は空疎で、十四日のうち十二日間を審議規則や手順に浪費し、大統領の極めて重大な嫌疑に踏み込むことはなかった。

 下院は委員会報告を「七十九議員の反対」で覆すことができた。しかし、大統領周辺は優先開発補助金(通称ポークバレル)増額や権益付きの「売位・売官」で議員造反を防いだとされ、与党議員の大半は「発議却下は有権者の意思だ」と却下に賛成票を投じた。世論調査で「大統領弾劾を」の声が多数を占めているにもかかわらず、だ。

 「党決定」に縛られ、賛成票を投じざるを得なかった議員もいただろう。仮に党決定が各議員の意思より優先され、与党が下院を支配するならば、大統領はいかなる罪を犯しても弾劾されないことになる。逆に、下院を支配できない大統領はたやすく弾劾されてしまう。「発議却下採決」の示したものは、大統領の言う「政治的成熟」や「民主的手続き」ではなく、行政府の不正を正すことすらできない立法府の機能不全ぶりだった。

 真実と正義を求める戦いの場は、再び「路上」へ移る。「最悪の状況は終わった」と思っているのは大統領一人であって、国民の中に「明るい明日」を予期している者はほとんどいない。 (8日・インクワイアラー)

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