首都圏で緊急事態宣言 各地で大雨、洪水被害
台風カリーナと南西季節風の大雨と洪水で各地で被害が相次いでおり、首都圏では緊急事態宣言が発令
台風3号(フィリピン名カリーナ)と南西季節風(モンスーン)の影響により各地で大雨と洪水の被害が発生し、道路封鎖も相次いでいる。比気象庁は24日午前3時、首都圏と近隣州に大雨警報のレッドアラートを発令。首都圏評議会は緊急会合を開き、午後には緊急事態宣言を発令した。また、中央ルソン、カラバルソン、首都圏は25日も政府関係機関の業務停止、休校措置を取ることが発表された。
民間防衛局によると、24日午前の時点で、首都圏を含む全国各地で18万3454世帯の88万2861人が被災。12件の土砂崩れ、423カ所で浸水が確認されている。また、ミンダナオ地方で8人の死亡が確認されたほか、バタンガス州アゴンシヨ町で発生した土砂崩れで、妊娠6カ月の女性と3人の子どもが死亡した。
社会福祉開発省、地方自治体、国家災害対策本部は、被災者に対し総額2900万ペソ相当の支援を提供している。
24日午後6時現在、首都圏マリキナ市のマリキナ川の水位が20・6メートルに達し、同市は第3警報を発令。アバロス内務自治相はマーシー・テオドロ市長との電話会談で、マリキナ川流域の周辺住民に強制避難を実施するよう勧告した。
マリキナ川は2009年の台風オンドイで氾濫し大洪水を起こしたことがある。SNSでは、避難や支援物資、寄付、炊き出しの呼び掛けのほか、ペットの鎖を外すなど動物の救助に関する情報も多く投稿されている。
気象庁の午後5時の速報によると、台風カリーナはバタネス州イトバヤット町の北380キロの海上に位置し、時速20キロで北西に進んでいる。中心付近の最大風速は51・4メートル、最大瞬間風速は63・9メートル。25日も各地で50~100ミリの雨が降る可能性があるとして、引き続き警戒を緩めないよう勧告した。
▽感染症に注意
台風カリーナと南西季節風の大雨と洪水により各地で被害が相次いでいることを受け、保健省はレプトスピラ症の脅威が高まっているとして、改めて警告した。
ヘルボサ保健相は、洪水で水が引いた後もレプトスピラ症に感染する危険性があるとして、洪水後の泥や土にも注意するよう勧告した。
傷口の有無にかかわらず、水たまりや洪水の中を歩かないことを推奨しており、やむを得ない場合は長靴など最低限の保護具を着用することを求めている。
同省によると、今年1月1日~7月13日までのレプトスピラ症感染者数は1258人で、昨年同期の2150人からは大幅に減少しているが、同省は降雨時期により変動するとして警戒を続けるよう勧告した。
レプトスピラ症は、ネズミなどの尿や排泄物を媒介して土壌・水、植生を汚染するレプトスピラ菌による感染症。(深田莉映)