住民が避難開始 災害非常事態宣言を発令
マヨン火山活動活発化で、火口から7キロ以内の住民数千人の避難を開始
ルソン島南東部のアルバイ州にあるマヨン火山(2463メートル)で連日落石が確認されるなど、火山活動の活発化が確認されていることで、同州ギノバタン町は9日までに危険区域である7キロ以内の住民数千人の避難を開始した。また、州内では同日、災害非常事態宣言が発令された。
マルコス大統領は8日、マニラホテルで記者団に対し、「今私たちがしていることは、万が一の時(噴火)に備え、人々を地区から遠ざけること。そうならないことを祈っているが、残念ながら科学はその可能性を示している」と述べた。
ギノバタン町のアン・オンジョコ副町長はラジオインタビューの中で、州災害対策本部が8日に、危険区域内の住民避難を命じたことを明らかにした。同副町長は1千~5千人が町内の高地へ避難する必要があり、「今日中に避難を終わらせられれば」と語った。
副町長はまた、住民に加え家畜のための避難所も自治体が準備しているとし、「避難所は高台に設けてあり、いくつかの学校もそちらに機能を移している」と状況を説明した。教育省からは授業の停止命令は出ておらず、対面式の授業を継続する方針も伝えた。
一方、レガスピ市災害対策本部も「警戒レベルが4に達した場合、もしくはフィリピン火山地震研究所が避難勧告を出した場合、7~8キロの危険地帯にいる508人を避難させる必要がある」と報告。同市の自治体では降灰を受け、すでにN95フェイスマスクの配布準備に取りかかっているという。
隣町のカマリグ町でも8日、マヨン火山から6キロ以内の危険区域内の住民の避難が開始されている。9日には7キロ以内に避難範囲を拡大するとしているが、一部住民は農場を監視するため、地区に留まっている事実も指摘した。
警戒レベル3に引き上げられているマヨン山での火山活動は9日午前8時までの過去24時間に、六つのドーム崩壊に起因する3~6分間続く火砕密度流と落石199回を記録した。同研究所は「火口にマグマがあり、数週間あるいは数日以内に危険な噴火が起こる可能性がある」と警告している。(岡田薫)