死者98人に倍増 不明も63人、アガトン超えも
台風22号による死者が98人に増加。214人が死亡した台風アガトンの報告ペース上回る
国家災害対策本部は10月31日、大型の台風22号(比名パエン)による死者数が前日報告数の2倍となる98人に増加したと発表した。行方不明者も前日の22人から63人に増加している。4月10日にビサヤ地方を襲い214人の死者を出した台風2号(比名アガトン)より報告犠牲者数の増加ペースが早く、犠牲者が台風アガトンを超える恐れがある。
死者数を地域別にみると、地すべりで40人以上の死者が報告された北マギンダナオ州を含むバンサモロイスラム自治地域(BARMM)が53人、西部ビサヤ地域19人、中部ルソン地域12人と、全国にまたがり死者が報告された。また、東部ビサヤ地域で29人、BARMMで22人が行方不明になっている。
また、台風上陸後はじめてインフラ被害額が報告された。被害は全国37カ所で確認され、暫定被害総額は全国で7億5784万ペソ。うちミマロパ地域は3億7518万ペソ、中部ビサヤ地方は2億7200万ペソだった。
一方、農業被害報告額も更新。3895万ペソだった前日から10倍以上に膨らみ、4億3546万ペソとなった。そのうち3億6844万ペソはビコール地域から報告された。
ライフラインも大きく影響を受け、停電となった全国11地域263市町のうち、169市町の電力がまだ復旧していない。
31日の英字紙インクワイアラー電子版によると、マニラ電力(メラルコ)は、ルソン地方だけで97万世帯400万2292が停電の影響を受け、30日午後1時時点で首都圏およびラグナ、カビテ、バタンガス、リサール、ブラカン、ケソン5州の計11万世帯45万538人の家に電力が復旧していないと発表した。
全国で554件の洪水と99件の地すべりが報告されており、158市町で災害制限が発令された。国家災害対策本部は、全国レベルの災害宣言の発令を大統領に提言する見通し。同宣言が発令されれば、災害対策基金を使用できるほか、政府による生活必需品の価格統制も可能となる。(竹下友章)