35校舎損壊、2億ペソ超の被害 ルソン北部地震、負傷者131人に
ルソン島北部地震の負傷者が131人に。35校の校舎も損壊したと発表
国家災害対策本部は28日、ルソン地方コルディリエラ行政区アブラ州を中心に27日発生したマグニチュード7の地震の負傷者が131人に増加したと発表した。新たな死者は報告されず「確認された死者は4人」とした。被災者は3456世帯1万2945人。また、教育省は被災地の校舎被害を発表。中部ルソン地域で11校、カガヤンバレー地域で9校、コルディリエラ行政区で8校、イロコス地域で7校の計35校舎が損壊し、推計被害額は最低2億2850万ペソに上るとした。
道路・公共施設などのインフラ被害は全17カ所で被害額3380万ペソとなった。家屋被害は、全壊が11件、一部損壊・半壊が857件。37市町で一時停電状態だったが、うち36市町が28日朝まで復旧した。
マルコス大統領は28日午前8時頃、被災地アブラ州に出発。仮設病院などを訪問し、自治体職員らから被害状況と捜索・救助活動の報告を受けた。
▽世界遺産にも被害
27日夜の観光省発表によると、ルソン地方北部の観光名所となっている歴史的建造物にも被害が及んだ。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)に世界文化遺産として登録されている南イロコス州ビガン歴史都市=16世紀に建設=では、キリノ第6代大統領公邸としても利用されたシキア大邸宅博物館の一部側面の壁が崩れ、窓ガラスが破損した。
19世紀に建設されたバロック様式のカトリック建築物で、国重要文化財指定を受けているサンタカタリナデアレクサンドリア教会=アブラ州タユム町=と、同じく国指定文化財で、コルディリエラ行政区最大・最古の聖廟(せいびょう)であるサンロレンソルイス聖廟=同州バンゲッド町=も一部損壊が報告された。
さらに、ビガン市に隣接し、1591年に建築された南イロコス州バンタイ町のバンタイ鐘塔については地震の揺れで「今すぐに倒壊しても不思議ではない」ほどの損害を受けたという。(竹下友章)