6地域に非常事態宣言 台風22号被害で大統領
ミマロパ、西・東・中部ビサヤ、北ミンダナオ、カラガの6地域に非常事態宣言
ドゥテルテ大統領は21日夜、比で今年最大級の台風とされる台風22号(比名・オデット)で甚大な被害を受けたルソン地方ミマロパ、西部・東部・中部ビサヤ、北ミンダナオ、カラガの6地域に非常事態宣言を出す大統領布告第1267号に署名した。22日付英字紙マニラブレティンなどが報じた。
大統領は「非常事態宣言したことで、政府と民間部門による救助と復興の取り組みは加速する。被災地での必需品の価格統制も行える」とし「22日も被災地を視察する。できることは何でも迅速に行うつもりだ」と述べた。
共和国法第10121号(比減災・防災法)によると「非常事態」は「災害により大量の死傷者が発生、大規模な物的損害が生じ、道路など生活の基盤が混乱した状態」と定義される。宣言されると、①災害特別会計の使用②必需品価格の凍結③無利子ローンの提供──などが可能になる。
▽被害額6億ペソ
22日の英字紙スター電子版によると、公共事業道路省(DPWH)は22日時点で、台風22号によるインフラの損害は5億8580万ペソに上るとの試算を発表した。ただし、被害報告が遅れている地域もあり、被害額は今後さらに拡大する見込みだ。
22日時点で最もインフラ被害が大きい地域はミマロパで被害額2億3190万ペソ。同地域のパラワン州では送電網が壊滅的打撃を受け、電力供給が停止したままだという。
東部ビサヤ地域では1億7340万ペソ、カラガ地域では1億4500万ペソ、西部ビサヤ地域では3550万ペソのインフラ被害がそれぞれ報告されている。一方、DPWHによると、救援物資輸送のために必要な34道路を整備し、再開通させたという。
▽観光客千人が帰宅困難
22日の英字紙インクワイアラー電子版によると、フランシスコ・マトゥガス下院議員=北スリガオ州第1選挙区=が、観光地として有名な北スリガオ州のシャルガオ島で立ち往生していた千人以上の観光客のうち、約600人が21日に帰宅できたと発表した。
クリスマスシーズンをリゾート地で過ごすために同島を訪れていた比人観光客らは、台風直撃後、帰宅の航空便が取れず立ち往生していたが、各自治体が航空会社と調整し帰宅用の便を手配、障がい者、子ども連れの親などを優先して帰宅させたという。(竹下友章)