「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-25度
両替レート
1万円=P3,780
$100=P5880

12月20日のまにら新聞から

台風22号死者100人超えに 政府支援は20億ペソ ボホール州だけで72人

[ 1310字|2021.12.20|気象 災害 (nature) ]

大型台風22号(比名オデット)の直撃で、ミンダナオ・ビサヤ両地方をはじめとする広範な被災地での死者数の判明が相次ぎ、100人を超えることが確実視されている

 大型台風22号(比名オデット)の直撃で、ミンダナオ、ビサヤ両地方をはじめとする広範な被災地での死者数の判明が相次ぎ、100人を超えることが確実視されている。

 ビサヤ地方ボホール州政府は19日夜、同州の死者が72人に上ったことを発表した。島である同州で最多の死者が出ているのは北東部のウバイ町で、12人が確認されている。サンミゲル町とロオン町ではそれぞれ6人、プレシデントカルロスガルシア町でも5人死亡し、死者数は時間を追うごとに膨れ上がっている。

 ボホール州のアーサー・ヤップ知事は17日、少なくとも1万5000世帯が家を失うなど、壊滅的な被害を訴え、同州に災害宣言を発令した。ヤップ知事によると、自治体48カ所のうち19日午後5時に報告を受けられたのは42カ所に留まった。同州では飲み水が不足し、州や知事自身のフェイスブックを通じて広く緊急支援を要請している。

 ヤップ知事は19日までにGMA系ラジオ局DZBBで「多くの地区で洪水が発生し、それが飲み水と混濁してしまった。住民が喉の乾きを訴えている」と危機的状況を訴えた。少なくとも食料配布や避難先への支援などに50億ペソが必要との見積もりも伝えた。

 人口139万4329人(2020年5月、統計庁)のボホール州では、モールやスーパーでのパニック買いが起きないよう、自治体職員が警戒に当たっているという。また、台風以来業務を停止していたセブ・マクタン空港は19日早朝、4日ぶりに国内線に限った運航を再開した。

 また、国軍ビサヤ指令部もセブ州全土の50%は電気がまだ戻っておらず、同地域の国軍施設の80%も電力を損失したままだと発表した。

 ▽政府集計に遅れか

 一方で、国家災害対策本部が発表する公式な死者数は19日も31人に留まり、負傷者3人、行方不明者1人だった。同本部によると、死者はセブ州16人、東ネグロス州とボホール州で5人ずつ、ギマラス州2人、イロイロ州1人、西ネグロス州1人、ブキドノン州1人だった。民間防衛室の東ビサヤ地域支部は、レイテ島南部での6人の死亡を報告した。

 災害対策本部は全地域の被災者が18万1500世帯70万6634人に上り、うち10万7816世帯42万7903人が2861カ所の避難所に身を寄せていることも発表。227市町が停電となり、うち21市町では、電力が回復したという。しかし、通信は依然135地区で途絶えたままだ。

 農務省は19日、カラバルソン、ビコール、西ビサヤ、カラガ各地域の農民と漁民3664人の1万830ヘクタールが被害を受け、計1億7640万ペソの初期損失額を発表した。

 

 ▽政府の台風支援は

 フィリピン政府はコロナ禍で予算が枯渇する中、被災者への支援に20億ペソを充てることを決定した。ノグラレス大統領報道官代行は19日、「前日すでに被災した各州の知事に報告した」とした上で「社会福祉開発省(DSWD)も10億ペソ相当の食料パックや必要物資を準備している」と語った。「島しょ部では海軍や沿岸警備隊、国軍をフルに使って食料を届けていく」とも話した。(岡田薫)

気象 災害 (nature)