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12月18日のまにら新聞から

台風ビサヤ横断 12人死亡 各地で倒壊や停電、道路寸断

[ 1317字|2021.12.18|気象 災害 (nature) ]

台風22号による家屋倒壊などで12人死亡。通信の復旧にともない今後増える可能性

台風オデットの強風で倒れた電柱=17日、セブ州タリサイ市(AFP=時事)

 強い台風22号(比名オデット)による強風と大雨で、各地で停電や洪水、地滑り、家屋の倒壊や道路の寸断など甚大な被害が発生している。17日午後6時過ぎにドゥテルテ大統領が招集した会議では、死者12人が報告されている。また、各地で通信網が不通になっており、死者数は今後さらに増える可能性がある。

 市民防衛室によると、死者の内訳は西ビサヤ地域6人(ギマラス島2人、西ネグロス州3人、イロイロ市1人)、中部ビサヤ地域4人(セブ市2人、ラプラプ市2人)、東ビサヤ地域南レイテ州で1人、そして北ミンダナオ地域ブキドノン州で1人となっている。西ネグロス州では行方不明者7人も報告されている。

 国家災害対策本部などによると、ビサヤ地方やサンボアンガ地域、カラガ地域での事前避難者は8万4674世帯33万8664人に上った。ノグラレス大統領報道官は17日、フィリピン全国送電会社(NGCP)や地方送電会社の施設が被害を受け「全国62市町で停電が発生している」と述べた。ビサヤ地方ボホール、ミンダナオ地方北スリガオ両州では全域が、南スリガオ、北アグサン両州では州の一部が停電に見舞われているという。

 ビンゴ・マトゥガス下院議員=北スリガオ州=は17日、有名な観光地シャルガオ島で家屋や建物、空港が壊滅的な被害を受けており、被害総額は200億ペソに上ると発表。通信手段も途絶える中、同島だけで2人が死亡していると伝え、医師団の派遣を行うとともに、ドゥテルテ大統領や国軍に支援を求めた。

 一方、国家警察は17日正午時点の西・中部ビサヤ地域の被害状況として、洪水発生が37カ所、停電が西ビサヤで19カ所、中部ビサヤで2カ所。通信不通が西ビサヤ26カ所で起きていることを報告した。西ビサヤ地域では1万9102世帯が3494カ所の避難所に身を寄せているという。

 セブ・マクタン空港は16日午後6時52分以降、乗客と職員の安全を優先して運航を見合わせており、17日午後7時時点で再開は発表されていない。また、在比日本国大使館によると、在セブ総領事館と在ダバオ総領事館では、電話回線障害が発生し、代表電話及びファックスがつながらない状態となっている。

 また、セブ・ラプラプ市の災害対策事務所によると、17日午後0時15分までにバランガイ(最小行政区)バサックで4人が、オランゴ島で韓国人1人を含む2人が死亡したとの情報を伝えているが、政府発表の12人に含まれているかは不明。

 パラワン州カガヤンシリョ町では17日朝の台風直撃で、倒木や家の屋根が吹き飛ばされる被害が続出した。同様の被害が出ている西ネグロス州では、停電の復旧に2日間を要する地区もあるという。

 比気象庁によると、台風オデットは17日午後4時時点でパラワン州サンビセンテ町付近を、時速25キロで西に向かっている。中心気圧は955ヘクトパスカルとやや勢力を弱めながらも、最大瞬間風速60メートルの強風を維持。午後7時現在、プエルトプリンセサ市、エルニド町、クヨ町を含むパラワン州北部に強風警報3が発令されている。台風は18日午後2時過ぎに比観測圏を抜けるとみられる。(岡田薫)

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