1日最長22時間の断水に 首都圏260地区に影響広がる
首都圏ではマンダルーヨン、パシッグ、サンフアン、ケソン各市で断水が続く
エルニーニョ現象に伴うフィリピン各地の干ばつ被害は深刻さを増しつつあり、首都圏ではマンダルーヨン、パシッグ、サンフアン、ケソン各市の少なくとも260バランガイ(最小行政区)で断水が続き、5万世帯以上が生活用水不足に陥っている。ルソン島北部ベンゲット州では大規模な山火事も発生した。
12日付英字紙ブレティンによると、首都圏東部を中心に水道水を提供しているアヤラ財閥傘下のマニラ・ウォーター(MW)社の広報担当者は、水源としているケソン市の貯水池ラメサダムの水位低下を理由に、本格的な雨期を迎える6月まで「計画断水を続けざるを得ない可能性がある」と述べている。
MWはフェイスブックなどを通じて首都圏各地の計画断水の時間帯を発表しており、マンダルーヨン市では13地区が午前11時から翌日午前9時までの22時間断水、サンフアン市では16地区が1日19〜22時間断水、マカティ市もコメンボ地区、西レンボ地区などで1日8時間断水となっている。ケソン市クバオでも断水が起きている。
フィリピン気象庁(PAGASA)の予報では、少なくとも今週末まで首都圏で本格的な雨が降る見込みはなく、ラメサダムの水位はさらに下がるとみられる。同ダムの水位は1998年のエルニーニョの年に記録した過去最低の68・75メートルに迫りつつある。
ただ、マニラ市など首都圏西部に水を供給する水道会社マイニラッドは水源がブラカン州などのため、水の供給は通常通りで断水地区は出ていない。このため首都圏水道局は4月以降、マイニラッドの水の余裕分をMW社に配分させ、首都圏東部の水不足解消を図る方針。
政府は全国の消防署に山火事警戒を呼び掛けているが、ベンゲット州シティオ、ビシルなどの山岳地帯では10日から少なくとも2カ所で大規模な山火事が発生、現在も鎮火に至っていないもようだ。
干ばつがこのまま続くと、コメなど農産物への深刻な影響が出ることも懸念されている。(石山永一郎)