台風ヨランダ(30号)
国連難民高等弁務官事務所、母子死亡の火事は復興遅れによる「二次災害」と警告
ビサヤ地方レイテ州タクロバン市のテント村で28日発生した火事で、台風ヨランダ(30号)被災者の母子7人が死亡したことを受け、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は29日、「この火事は政府機関や支援団体に対する深刻な警告だ」と述べ、復興の遅れから発生した二次災害と指摘、住宅再建・移転事業を加速させる必要性を訴えた。
UNHCR駐比事務所のカーブラット氏は「台風ヨランダ襲来を生き延び、生活を再建していた矢先に2度目の悲劇が家族を襲った」と述べ、命を失った7人に哀悼の意を表した。同氏はまた、被災地では停電復旧が進んでいるものの、火事現場のテント村は電気が回復していなかったと指摘。自家発電機による夜間の照明確保には限界があるため、被災地での防火対策強化に加えて、電力復旧が急務と主張した。
コロマ大統領府報道班長は29日、被災地での防火対策の実施を徹底するなど再発防止を図ると発表。さらに同班長は、テントに住み続ける被災者を仮設住宅へ移住させるよう、さらに促進するとの方針を明らかにした。
レイテ州選出のロムアルデス下院議員は同日、住宅再建の加速を現政権に要求するとともに、「被災者の生活と未来」のために、台風被害を風化させないよう報道関係者に協力を求めた。
火事は同市サンホセ地区のバランガイ(最小行政区)88で28日午前0時20分ごろ発生した。同市消防署によると、犠牲者が使用していた灯油ランプが倒れテントに引火した。母親は子供と共にテントの外に出ようとしたが、出入り口のジッパーが開かず逃げ遅れたとみられる。焼け跡から見つかった母親は子供6人を抱きかかえるようにしていたという。7人は病院に搬送されたが、間もなく死亡した。(鈴木貫太郎)