台風ヨランダ(30号)
日本を含む世界33カ国・地域の赤十字社が被災地復興に関する国際会議開く
首都圏マニラ市のホテルで12日、日本など世界33カ国・地域の赤十字社が台風ヨランダ(30号)の被災地復興に関する国際会議を開いた。フィリピン赤十字社によると、2015年10月末までの赤十字全体の復興計画予算は137億ペソ。「住宅再建事業」が総予算の約6割を占め、復興計画の柱となる。
住宅再建(57%)と被災者の生計支援(18%)が予算全体の75%を占めるほか、防災(14%)、保健・医療(5%)、教育(6%)の各事業を実施する。ゴードン・フィリピン赤十字社総裁は開会のあいさつで「緊急支援から復興段階に入ったが、被災者が暮らしを取り戻すまで支援は続く」と協力を呼び掛けた。
焦点の「住宅再建事業」については、比政府は被災地の一部沿岸部などを「居住禁止区域」に設定するよう検討し一部発表したが、被災から3カ月以上経過した現在も最終決定まで至っていない。住宅再建の本格化には同区域設定が不可欠となるが、ゴードン総裁は政府と調整しながら、同区域に設定されないことが明らかな地域での住居再建や、仮設住宅の建設など可能な支援から先行して実施していくとの方針を示した。
また赤十字国際委員会(ICRC)アジア太平洋局長のアシリマン局長は「被災者の多くが生計手段を失った。農家や漁師への支援も重要となる」と言明。
会議は13日午後までの2日間開催され、各国・地域の赤十字が、今後実施する支援方法や地域などの具体的内容を議論する。参加した日本赤十字関係者は「ビサヤ地方レイテ州タクロバン市など注目されている地域だけでなく、忘れられてしまっている被災地にも光を当てたい」と語った。同地方セブ州北部に医療チームを派遣してきた日本赤十字社は、住宅再建や保健環境の向上などで協力していくという。
台風ヨランダの被災地復興で比政府は、2017年までの4カ年で国家予算の15%に相当する総額3610億ペソを投じることを決定。比政府と赤十字全体の支援内容の調整役は比赤十字社が担っている。(鈴木貫太郎)