台風ヨランダ(30号)
被災11州の停電復旧率は2カ月後の今も70%弱。レイテ州やセブ州北部は20%台
台風ヨランダ(30号)で大規模停電が発生した11州で、バランガイ(最小行政区)単位の停電復旧率が、被災から2カ月が経過した9日現在も平均70%弱にとどまっている。復旧率は、各被災地域の配電会社で異なり、高潮や烈風で甚大な被害を受けたレイテ州中南部やセブ州北部、カピス州は20%台。特にレイテ州内では、電柱・電線の修復、家屋再建の遅れで、世帯レベルの復旧率は6〜8%でしかない。
ペティリア・エネルギー長官は2013年12月下旬、「被災した全自治体の中心部で、停電が復旧した」と宣言したが、復旧したのは町役場や病院など一部施設だけ。配電先となる家屋自体の再建が進まない地域は多く、全面復旧はまだ先になりそうだ。また、レイテ州内の地熱発電所が台風被害を受けた関係で電力供給量が不足し、配電網復旧後も計画停電の恐れがある。
被災11州では、首都圏のマニラ電力(メラルコ)のような配電会社があり、国家送電会社(NGCP)から供給された電気を各世帯に届けている。
NGCPによると、発電所と配電会社を結ぶ送電網は、バイパス線敷設などの応急処置もあり、12月下旬までにひとまず復旧した。しかし、各配電会社が管理する電柱や電線の補修工事が進まないため、復旧率が上がらないという。
これら配電会社の大半は資金的制約から広域の補修工事を行えず、状況が放置されれば停電がさらに長期化する恐れがある。
このため、政府は配電網の復旧向けに総額39億ペソを支援する方針で、1月中に各会社の担当者を集めた会合をセブ州で開き、復旧計画の詳細と予算配分額を詰める。
エネルギー省電化局(NEA)によると、広域停電の発生した11州は、レイテ、南レイテ、サマール、東サマール、北サマール、ビリラン、アクラン、イロイロ、カピス、セブとパラワン北部。
9日現在、完全復旧した南レイテ、北サマール両州を含む全体の復旧率は、バランガイ単位が69・8%、世帯単位が61・9%。
残り9州で、バランガイ単位の復旧率が最も低い地域は、タナワン町などレイテ州中南部の13町。全499バランガイのうち、復旧したのは21%、105バランガイだけ。世帯レベルの復旧率はさらに低く、約6万8400世帯の6%、約3200世帯にとどまっている。同地域に続くのは、セブ州北部のバンタヤンなど3町で、バランガイ、世帯単位の復旧率はそれぞれ22%、4%。
州都タクロバン市などレイテ州北東部の3市町は、バランガイ単位は41%まで復旧したが、世帯単位は6%と依然、全戸停電に近い状況が続いている。オルモック市を含む同州北西部12市町の復旧率も、バランガイ35%、世帯6%にとどまっている。(酒井善彦)