台風ヨランダ(30号)
エネルギー長官が辞意表明。「クリスマスまでに停電復旧」の公約守れず
エネルギー省のペティリア長官が25日、辞意を表明した。クリスマスまでに、台風ヨランダ(30号)被災地の停電復旧を実現できなかったため。近くアキノ大統領に辞表を提出するが、慰留される可能性がある。
同長官は被災10日後の11月18日、ビサヤ地方レイテ州パロ町を訪れた際、「クリスマスまでに、被災した全自治体の停電を復旧させる。できなければ辞職する」と公約した。
同省と国家送電会社(NGCP)などが復旧作業を続けた結果、24日のクリスマスイブまでに、東サマール州内の3町を除く、全被災自治体の一部地域で送電が再開された。
これら3町でも、クリスマス当日の25日午後2時40分ごろ、町中心部で停電が復旧したが、ペティリア長官はマニラ新聞の電話取材に対し「不運にも(公約した期限の25日午前0時から)復旧が14時間遅れてしまった。公共サービスに携わる者として、約束は守る」と辞意を表明した。
辞表提出後の対応について、ラシエルダ大統領報道官は「受理するかどうかは、アキノ大統領次第。大統領の言葉を待つしかない」と述べた。
ペティリア長官は入閣前、レイテ州知事を務め、今回の台風被災では復興計画案を取りまとめる閣僚級タスクフォース(TF)のまとめ役に指名された。年明け以降に本格化する復興計画の実施でも、重要な役割を期待されており、慰留の可能性がある。
NGCPによると、台風ヨランダで送電用施設約2千カ所が大きな被害を受け、レイテ、サマール、パナイ各島などで停電が発生した。被災から6週間が経過した現在、送電が再開された自治体内でも、実際に電気が使えるのは一部地域に限られている。遠隔地を含む全面復旧には半年程度かかる見通し。(酒井善彦)