台風ヨランダ(30号)
あす上陸から1カ月。世界保健機関など国際団体が継続的な支援を呼び掛け
台風ヨランダ(30号)上陸から1カ月目を2日後に控えた6日、世界保健機関(WHO)など国際団体は、子供が深刻な栄養失調に陥っているなど被災各地の過酷な状況を強調し、復興に向けて継続的な支援が不可欠と呼び掛けた。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は11月25日、5歳未満の被災児童推定135万人が飢餓状態に陥っていると発表し、被災地児童の栄養状態悪化の危険性を指摘していた。しかし、国家災害対策本部の6日発表によると、厚生省がビサヤ地方レイテ州タクロバン市内の子供7129人を対象に実施した健康調査の結果、12人が深刻な急性栄養失調、軽度の栄養不良も81人にとどまっている。
ホールWHOフィリピン代表はこの日、「栄養失調で死亡する恐れのある子供が相当数いる。WHOが調査した地域は全体のごく一部に過ぎないにも関わらず、深刻な症状が散見された」と述べ、被災地全域の子供を対象とした健康調査の必要性を訴えた。
ホール代表はまた、被災者の健康状態改善には、継続した食糧支援と、抗生物質の配給など感染症防止対策が急務だと強調した。
国際非政府組織(NGO)セーブ・ザ・チルドレンのターニャ・ストロングマン氏は同日、被災地における教育の再開の重要性を強調した。台風襲来によって学校が壊滅的な被害を受け、約101万人の子供が教育機会を失っているという。セーブ・ザ・チルドレンは今後、仮設教室を建設し、児童50万人の授業再開を目指す。ストロングマン氏は「仮設教室は短期的な解決策でしかなく、校舎の再建が不可欠だ」と長期的な支援が必要と述べた。国連児童基金(ユニセフ)によると、被災した子供は626万人に上っている。
比赤十字は同日、「医療施設や住宅の再建、雇用確保など、被災者が暮らしを取り戻すために3〜4年間の長期的支援を計画している」と述べ、継続的な支援を呼び掛けた。
国際環境保護団体グリーンピースは、閣僚級タスクフォース設置など被災地復興に向けた比政府の動きを評価する一方、被災自治体に太陽光発電パネルを設置するなど再生可能エネルギーの推進を求めた。
国家災害対策本部によると、6日午前6時現在の死者・行方不明者はそれぞれ5786人、1779人で計7565人となった。被災者総数は237万世帯の1124万人。約400万人が避難生活を強いられている。(鈴木貫太郎)